第41話 共闘




 結局、その日の勝負もルティアの勝ちで、ガルヴィードは茶会の席に戻って彼女と向かい合ってケーキを食べる羽目になった。周りの者達が何かいろいろ言っていた気がするが、ガルヴィードは勝負に勝ってご機嫌なルティアを凝視していて聞いていなかった。

『私が正しかったでしょう?』

 ルティアがにこにこ笑顔で言った。

 ガルヴィードは首を横に振った。いつもとは少し違う気もしたが、胸がもやもやと苦しいことに違いはなかったからだ。

「俺は一生このままだ。これまでずっとそうだったんだから」

『どうして諦めるんですか?そんな苦しさなんかに負けちゃ駄目ですよ』

 その無責任で脳天気な言葉に、ガルヴィードはむっとして言い返した。

「お前は、自分のことじゃないからそんなことが言えるんだ」

 自分の苦しさなど、わかるわけがない。ガルヴィードはそう吐き捨てた。

 すると、ルティアはぱちりと目を瞬いた後で、こう言った。

『じゃあ、私も一緒に戦うから』

 ガルヴィードは食い入るようにルティアをみつめた。

『殿下が苦しくなくなるまで、私も一緒に戦いますよ。だから、絶対に負けないでください』

 そんな言葉をすぐに信じられるほど、ガルヴィードは馬鹿でも純粋でもなかった。

 それなのに、そのなんの根拠もない言葉に縋りたくなった自分をガルヴィードは恥じた。

「お前に何が出来るってんだ」

 恥ずかしさを誤魔化したくて、口調が荒くなった。

『一緒に戦います!』

「どうやって?お前がなんの役に立つんだよ」

 二人が言い争っていると思った貴族達がルティアを下がらせようとしたが、ガルヴィードは不機嫌を露わに睨みつけて周囲の者を追っ払った。

 周りから人が下がると、ルティアはいいことを思いついたとでも言うようにぱっちりと目を見開いて言った。

『じゃあ、勝負しましょう!私がちゃんと戦えるってわかったら、私を頼ってくださいね』

 少女は手元に置いてあった四つ葉の束を掴んで、満面の笑顔でガルヴィードに差し出した。

『今のところ、私の方が殿下より強いです!』


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