悪役令嬢の日記がレベル99になりました
仲仁へび(旧:離久)
第1話
ぱんぱかぱーん。
乙女ゲームに転生したと思ったら日記だった。
え、嘘やん。
三回ぐらい現実を疑ったよ。
けど、紛れもない現実だった。
自分の意思で歩けない俺は、乙女ゲーム世界の手帳、それも悪役令嬢の抹殺ノートに転生していた。
無機物だし、命宿るの?
って、思ってけど、俺いま思考してるしなぁ。
ともかく、事態を発揮した俺は、持ち主である悪役令嬢ノエルちゃん(五歳)に語りかけた。
「抹殺、抹殺♪」
「それは駄目だろぉ!」
るんるん気分で抹殺したい人間の名前を書き綴る少女に突っ込みを入れて、「えっ、ナニコレ気持ち悪い」と放り投げられたのは嫌な思い出だ。
とにかく、そんな感じで俺のセカンドライフは始まった。
でそんな俺は、日記の分際でレベルアップするみたいだ。
毎日、ノエルちゃんが日記を書くとレベルアップ(俺が頑張るんじゃないんかい)する。
日記レベルが上がると、日付や天気、場所などが自動的に筆記されるようになるらしい。
他の文書の模写機能がついたり、他人の日記の内容を記す筆記機能がついたり。地域で起こった事件が分かるという新聞機能がついたり。
レベルカンストした頃には、未来の予言もできるようになった。
そんなことができる暁になった頃には、ノエルちゃんに「本当にただの日記なの?」と言われたっけな。
あっ、そうそう。
レベル上昇に伴って各種ステータスも強化されていったぜ。
物理防御とか魔法防御とかな。運とかも上がった。日記だから、素早さのステータスはなかったけど。
とりあえず、第二の日記人生を送った俺は、秘書いらずの日記として活躍。
ノエルちゃんの私生活をサポートしていった。
悪役令嬢化しそうなノエルちゃんを時にたしなめ、時に守り。忙しかったなぁ。
いじめられっ子なノエルちゃんが嫌がらせされたときは、俺を盾にやりすごし。
ノエルちゃんがいじめっ子に復讐する時は、いじめっ子の手帳を写し取って弱みをにぎったり、明日いじめられないか未来の日記を読んで対策を立てたりした。
ちょっとグレかけた事もあったけど、俺の補佐もあって、そんなノエルちゃんは、立派なレディに成長して
「よくも彼女をいじめてくれたな! お前は追放だ」
成長して?
あれ、原作と同じように断罪されとるやん。
主人公の女の子をかばってる攻略対象にめっちゃにらまれとるやん!
ちょ、ナニコレ。
世界の歴史を元に戻そうとかいう修正能力でも働いてんの!?
やってもない罪を、どんどん着せられてるんですけどっ!
「ええっ、ちょっとどういう事よ日記!」
ノエルちゃん、慌てないで、俺もテンパってるから。
日記ぶんぶんふり回してもだめだってば、あー。目がまわるぅっ!
はっ、見えた!
ふりまわされた視界の中で、にやりと笑う貴族令嬢が一人!
お前かっ!
そういや、最近ノエルちゃんに嫌がらせしてたな。
こうなったら、あいつの日記を模写して、俺達が断罪してやる。
そんな俺達の前に人がずらり。
ノエルちゃんを捕まえようとしてくる警備兵たちだ!
だが、こっちにはレベル99の日記がついてるんだぜ!
走れノエルちゃん!
ノエルちゃんが断罪されたら、誰が俺の(日記の)世話をしてくれんだよっ。
悪役令嬢の遺品として棺桶で燃やされるのも嫌だし、蔵の中で丁重に保管(放置)されるのも嫌だ!
さあ、ノエルちゃん!
あそこにいる金髪縦ロール&ケバい化粧のご令嬢が黒幕だ!
様々な耐性を付与された俺を、文字通り盾にして走り出すノエルちゃん。
大勢の視線をもろともせず、魔法とか弓とか剣がめちゃくちゃになる戦場をかけまわるノエルちゃん。
「黒幕は貴方よ!」
ガシっ!
さあ、捕まえた。
キリキリ吐いてもらおうか。
その後、濡れ衣が晴れて、色んな人達から謝罪されたけど。
戦場となった断罪会場を駆け回った後、真犯人をどや顔で断罪するノエルちゃんの姿はまさしく、悪役令嬢そのものだった!
悪役令嬢の日記
レベル 99
持ち主 ノエルちゃん
称号 抹殺日記 淑女の日記 ポンコツ日記
ステータス一覧
精神MAX 運MAX 筆記力MAX
耐性一覧
物理防御MAX 魔法防御MAX 炎耐性MAX 水耐性MAX 筆圧耐性MAX
エクストラスキル一覧
テレパシー(日記所有者に考えを伝えられる)
視界共有(日記所有者が見ている視界を共有する)
日記、天気、場所の自動筆記(日記を書いた日の日付と天気、日記を書いた場所を自動で記入。自動発動スキル)
文章模写(日記所有者が見ている文章を模写する)
日記模写(半径三メートル以内にいる人物の日記を自動で模写できる)
地域新聞(家の近くで起こっためぼしい事件を教えてくれる機能)
未来予知(明日、所有者の身に起こる事が知れる)
悪役令嬢の日記がレベル99になりました 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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