天使?と俺とボロアパートと
アキノリ@pokkey11.1
1 歩み出す世界
舞い降りる天使
第1話 ボロアパートに舞い降りた天使
思えば俺、太刀山新(たちやまあらた)24歳、の人生はゴミ扱いを受けた.....人生を蔑ろにされた有様である。
何処がと言えば簡単だ。
俺の全ての扱いが何もかもが.....だ。
捨て駒の様な扱いだった。
パチンコスロットばかりで借金まみれの親から捨てられ.....いや。
俺が飛び出したくて18歳の時に家を飛び出してそして路上生活などをやり.....全ては今に至っている。
死に物狂いで俺は社会人になった様な感じだ。
そして今、営業マンをやっている。
だけど俺は社会人1年目もあり。
それなりの扱いであり、課長との飲み会で無理矢理付き合わされ.....酔っぱらいながら午後10時に帰って来た。
つまり何が言いたいかといえば.....社会も俺に対してそんなに甘くないって事だ。
これが社交辞令だと.....認識するまで時間が掛かったな。
でもそれでも。
18歳の時に家を飛び出した時よりかは遥かにマシだ。
そして.....人生は豊かになってきている。
捨てられていた生ゴミを食べる必要も無くなったしな。
風呂にも入れるし、家もあり、路上生活じゃ無くなった。
この少しだけくるっとなるくせ毛も床屋で切れる様になり。
顔立ちも無精ひげから整える様になった。
痩せこけていた顔立ちも整ってきて.....幸せだ。
取り合えずとそれなりに給料を貰えて生活が成り立っている。
遥かに.....今の方がマシだ。
過去の事をふと思いながら俺はアパートの鉄階段を上って行く。
それからアパートの鍵の掛かったドアを.....ん?
何故か俺の部屋のドアが開いている。
そして電気が点いている。
おかしいな.....確か消し.....いや?
俺は電気も関係無い朝に家を出た筈だ。
鍵も掛けた筈である。
俺は?を浮かべてドアをゆっくり開ける。
そして目の前を見て驚愕する。
何故驚愕したかといえば.....黒の長髪。
そして前髪にイチゴの髪留め。
少しだけ前髪を結っている少女。
整った顔立ちの.....とにかく本格的な美少女といえる女の子が居たから。
モデルでもやっているのか、といえる様な.....ってそれはいい。
何故俺の部屋に美少女が居る。
朝起きて行って帰って来たら美少女?
これは夢か?、と思いながらヒックと言っていると。
正座したままその美少女は頭を下げた。
「お帰りなさい。お兄ちゃん」
「いや、ちょっと待て。お前.....誰だ?此処は俺の家なんだが.....」
「.....?.....それはそうですよね?お兄ちゃんの部屋ですもん」
「.....」
酔っているせいか何か言っている事が色々とおかしい。
俺でも当たり前すぎての何を言っているのか訳分らず頬を掻いた.....ってそんな事は良いんだよ。
今はそんな事をしている場合では無い。
何だこの美少女は!?
制服姿で俺の部屋に!?
おかしすぎる。
どういう事なのか、と思っていると美少女は手を広げた。
「お兄ちゃん。取り敢えずハグしても良いですか?」
「は?いや!?ちょっと待て!?駄目に決まっているだろ。それよりマジにお前誰だよ!?」
「えー。忘れたんですか?約束を果たしに来たのに。私ですよ。御手洗静葉(みたらいしずは)です♪」
「.....御手洗静葉.....?」
名前を言われてから。
俺は顎に手を添えて回想モードに入る。
それから.....思いっきり見開く。
まさか.....あの近所の幼かったクソガキ幼女!?
そんな馬鹿な!?
かなりビックリしながら見ていると少女はモジモジし始めた。
そして柔和な笑みを浮かべる。
「.....お兄ちゃんと結婚する約束を以前しましたよね。それを果たす為に.....来ましたよ。お兄ちゃんと愛し合って一緒になる為に」
「.....いやいや。お前。それを約束したのは10年以上前でしかも当時のお前から言われてそれは本当に冗談のつもりだったんだが.....」
「私は冗談のつもりじゃ無かったです。お兄ちゃんはとても優しいですから。だから本気で結婚するつもりで来ました」
「.....いや.....それ本気か.....?」
はい。本気です。
しかもこの事は親公認ですよ。
アハハ、と無邪気な笑顔を見せる静葉。
いや!?親公認!?
そんな俺を他所に静葉からは笑う度にかなり良い香りがする。
ハーブの様な香りだ。
俺はその事に少しだけ赤面する。
それからマジかと額に手を添えてから静葉をもう一度見てみる。
静葉はニコニコしながら俺を見てきている。
あのクソガキが.....こんな胸の大きい女の子になるとは.....。
しかも親公認ってお前。
『おにいちゃんとけっこんする!』
10年以上前の記憶だ。
俺は.....懐かしく思い出しながら少しだけ柔和になる。
あの頃は.....幸せだったよな。
コイツの笑顔を見ているのもあって、だ。
すると静葉は少しだけ複雑な顔をした。
「.....でもお兄ちゃんは実家を出て行きましたよね。だから.....何処に居るか分からなかったです。その間はとても悲しかったです」
「.....そうだな。俺は.....実家が嫌になったからな.....」
「でもこうやってお兄ちゃんをやっと見つけたんです。私。とても嬉しかったです」
「.....いやしかし.....どうやって俺を探したんだ?」
友達の伝を辿りました。
そしたらこの辺りに住んでいるって分かって。
居てもたっても居られなくなって.....お兄ちゃんに会いたくて来ました。
とニコニコした笑顔を見せる静葉。
「.....でもアパートの鍵はどうやって.....」
「アパートの管理人さんに笑顔で訴えたら鍵をくれました。入れました。優しい管理人さんですね」
「セキュリティが滅茶苦茶ガバガバだな.....」
「アハハ。でも.....お兄ちゃん。こうして会えたんですから良いって事で」
俺は苦笑いを浮かべながら静葉を見る。
あ、それと今日から私.....このアパートに住みますから宜しくです。
と笑顔を見せる静葉。
予想外の言葉に、は?、と目を丸くする。
静葉は両手で頬を触りながら赤くなる。
「お兄ちゃんと同居.....いやーん♪」
「.....嘘だろお前.....」
「親公認です♪」
「そういう問題じゃねぇ!!!!!お前の親も嘘だろって感じだが!!!!!」
いや本当にどうなっている!?
俺の様な童貞に美少女が来てからしかも一緒に住むってかお前!?
嘘だろお前、と思いながら居ると段々頭がクラクラしてきた。
しまった酒に酔っていたんだわ。
俺は静葉を見る。
「静葉。取り敢えずは風呂に入って来る」
「あ、一緒に入りますか?」
「冗談でも止めてくれ。俺の色々が持たん」
「アハハ。流石の私も恥ずかしいですから」
俺はかなりの苦笑いを浮かべる。
そして俺は.....静葉と一緒に暮らす事になった。
このクソ狭いアパートの一室で、だ。
俺は額に手を添える。
それから.....風呂の中で、マジか.....、と呟いた。
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