第19話 操り

操り




「ふはははは、殺しあえ、殺しあえ!」


くそ、空の上で、笑っているアイツ、さっきとは別の男め、私に強化魔術をかけて楽しんでいる。


「どうにかして、あいつを下におろしたいのですが、とあなたに言っても、どうしようもないですね」


「そうだね、今だって、私たちは殺し合っているのに、太郎太刀と次郎太刀で真っ二つにされないか心配だもの」


けど、少しずつ分かってきたよ。私の意思で攻撃をしようとした場合は私の意思を優先してくれるみたい、それに念話は使える。なら、


『ねえ、ウエアだっけ?』


『ええそうですが、あなたは? 今戦っている相手に念話とは』


『私はアミ。で、簡潔に言うと、協力して、あいつを倒そう!』


『ですが、あなた操られているのでは?』


『私の意思で攻撃する場合、それが優先されるから、それであなたが優位になるようにするよ。先ずあなたを今から投げる。もちろんあいつに向かってだよ』


『分かりました、では行きましょう』


『あれ、良いの? 私信用してくれるの?』


『しょうがないでしょう。これ以外嫌がらせできないのですから』


『じゃあ行くよ!』


こんな念話をしているうちにも、戦闘は続いている。腕から先を巨大化させて、振り下ろしたり、グーで、思いっきり殴りに行ったり。けどそれもここまで、ウエアを握って、アイツのいる空域に投げ飛ばした。


「ほう、此方に投げてくるとは気づいたな? だが」


あ、このままじゃまずいかも。なら、ウエアを手で包むようにして、地面に叩きつけよう。しかし、手も動かず、そして、その目論見もむなしく、


「え、私?」


そう私に攻撃が来ていた。火炎鞭そう見えるような攻撃。それは私に向かって、地面から現れた。手を大きくして振り上げているし、防御命令が、脳から体に届いていない! このままじゃ! できるだけ、皮膚を分厚くして、体を小さくして! それも無駄!? 身体が小さくなったけど、このままじゃこのままじゃ! 思わず目をつぶる。ああ、このまま私は燃えていなくなるんだ。しかし熱い風はくるけど焼かれたような痛みは来ない。どういう事? そーっと目を開ける。そこには、


「ウエア?」


ウエアだと思う。その人物は私をかばって、燃えていた。なのに私の体は動かない! なんでなんで!


「ふん、面白くない、幕引きだな。では俺は行くとしよう」


くそ、くそっ、くそっ! なんで、なんで!


「なんで、私をかばったんだよぅ」


それは答えることなく燃え尽きた。

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