第14話 救出
救出
「で、なんで貴女もついて来てくれたの? 真井。貴女には私たちに付いて来る理由ないよね」
「まあ、そうなんだけどね。でもいい子たちだなと思ったのと、ここで死んでほしくないって思ったのよ。杉谷さんの無理にでも理由になってくれるのと、アミの不安だけど、それでも戦おうとする意志。それを見ていて戦わないって選択肢が消えたのよ。それに、紀光に会わなくちゃだしね」
「ありがとう」
「いいのよ」
「うん。私と杉谷さんだけだと、少し心細かったんだ。それに、そうやって、私を鼓舞してくれての両方の意味でありがとうなんだ」
「杉谷さんもいい人だけど、アミ貴女もいい子よね」
「え? そんなことないよ。私なんて、根暗な穀潰し。それに、臆病者。今はこの体だから、少し戦闘狂になっているけど、でも本当の私なら、もうここから逃げ出している。それが私なんだ」
「それでも、貴女は今、ここにいるのよ。だから私は、貴女たちの言っていた、理由と情報を頼りにここに来たのよ」
そんな会話をしていると、やっと見つけた。まるで、戦闘機を身にまとっているようなボロボロ少女が、チャペルに入っていくのが見えた。隠れるつもりだろうけど、敵はそんなことお構いなしの様だ。爆弾のような物を投げ込もうと振りかぶる。そうはさせない。私は腕を巨大化。そのまま、
「叩き、潰す!」
爆弾を敵事叩き潰す。それにより、爆発は防げたけど、すべての視線がこちらに向いた。
「ねえ、作戦はあるのかしら」
「ごめん、無い。けど、今やらないと死んでいたよ」
「そうですわね。でも、この人数差どう埋めますの?」
「人数差ならどうにかなるわ。ただ質の問題もあるのよ」
「じゃあ、人海戦術で、全員の動きを鈍らせて一人ずつ倒していくのは?」
「無理よ、というか皆こっち来てるじゃない!」
「じゃあ、二人とも後に逃げて突っ込んできた奴等なら私一人で!」
「はあ! 出来るわけ」
「いいから!」
二人は急ぎ離れた。杉谷さんは翼を広げ、後方に、真井も筋力強化で後ろに走った。私はジャンプして、巨大化。私をまず倒そうとしていた様で、さっきまでいた場所に周りを囲む形で、近接武器を持った者たちがいた。そして私はそこに巨大化して落下。数人は躱した様だけど後の人たちは、潰れた。
「なんなんだ! あいつ巨大化したぞ! おい、さっきの奴を倒すより、こいつを倒さないとまずいかもしれん!」
その言葉に呼応するように体に電流が走った。めっちゃ痛い! でも、こんなところで立ち止まれない! 上を見ると雷雲が現れているのが確認できたけど、けど、今日は雲一つなかった。つまり、誰かが作り出したって事かな? 下を見ると、真井と杉谷さんが残っている敵を戦っている。ならば、私はどこかにいるであろう、この雷雲を作った敵を探そう。多分こちらの見える位置に……いた! 向かいの屋上! このまま手で握りつぶす! 私は手を上げ、ビルに伸ばす。しかし、敵はうまく手の上に乗り、短剣を出して突っ込んできた。腕の上を走る敵、これはまずいね。なら、元の大きさに戻る。空中に放り出された敵は、着地するために、何か布を取り出して落下傘にした。私は縮小した時に地上に戻っていたため、降りてきているところに、指に火の玉を作り上に放り投げる。火の玉は命中。そのまま火の塊となって落ちて、いや違う。あれは、まだ生きている。火の塊が刃を持って、こちらに落ちてくる!
「危ないじゃないか! 空中にいる人を狙うなんて!」
「いきなり雷落とす人に言われたくないよ!」
ギリギリで回避して、敵の軽口に返す。もう敵はこの一人だけ。ならばこのまま叩き潰す。敵は距離を取る為に後ろに跳ぶ。そして弓を取り出して矢を番え、放つ。
「ウウ! 何この音、浄化される」
何かきつい。思わず、浄化とか出ちゃったし。でも矢が飛んでこない。と思っていたら、
「大丈夫? 何とか矢は切り落としたけど」
え、誰? あ、さっき逃げていた雛って子だ。その子が、騒ぎに気が付いたみたいで、矢を切り払ってくれていた。
「ありがとう。けど貴女、さっきまでフラフラだったのに大丈夫かい」
「うん、大丈夫。何とかする。何とかして見せる」
でもあの距離を走ってその上で矢を切り払うなんてどんだけ速いんだよ!
「なぜ今のが切れるんだ! それに何故痺れない!」
雛はそれには答えず、斬りかかる。私も過剰戦力だと思いつつも、拳を振り上げ、殴りかかる。敵は思いっきり後退しているけど、方向転換する間に追いつき、
「終わりだよ」
と雛がつぶやき、刀振り下、そこに雷が落ちた。
「クゥ! けどまだまだ!」
落ちた場所は私たちの目の前、敵と私たちの間。音と光にびっくりしたけど、二人とも動ける。しかし、その間に敵も体勢を立て直すために距離を取った。そこに、真井と杉谷さんも来て、これで勝ちは盤石だろうと思える状況になった。
「俺ピンチだな。けど、まだ戦える!」
敵はまた弓を構え、狙いは私。私は回避に専念するために、つま先立ちになり、足を曲げ、少し屈伸させる。なぜか知らないけど、この動きをしたほうがいいって思える。確かに、この後速く動けそう。頭の上でゴロゴロと音が鳴り出す。どうやら、雷を落とすつもりだ。
「このままじゃ、雷に当たってしまうね。一度、チャペルに逃げ込むよ」
私の言葉に皆が頷く。チャペルに向かってみんなで走り出した。今までいた場所に雷が落ちる。そして、弓の音が鳴る。
「くっ、なんなんだよこの音!」
「やっぱりきついですわね、この音」
「二人とも大丈夫なの? 蹲っちゃって。まあそのおかげで矢は避けれたけど」
4人とも再び走り出す。そしてやっとの思いでチャペルに到達。ドアを閉めた。
「ど、どうする? 広範囲攻撃にたけた敵のようだね。それに、弓の音、凄い不快だよ」
「あ、それで二人は耳をふさいでいたのね」
「そうですわね。お二人はどうもなさそうでしたけど、どうしてかしら?」
「お、おそらくだけど、あのゆ、弓は、梓弓だよ。あ、あの弓には、か、雷避けの加護と、魔除けの音が出るんだよ」
「もしかして、私たち悪魔属性だから、魔除けが効いている?」
「そうかもしれませんわね。で、どう倒しましょうか」
ドアに施錠魔術を(真井が)掛けて、みんなで悩んでいる。
「う、動く避雷針が有ればいいのに」
ポツリと、雛が呟く。その言葉に反応してのは、真井だった。
「私、出来るよ」
「どういう事? 避雷針ができる?」
「そう、私のコピーの腕を金属に変化させて、それを掲げて、避雷針代わりにすることはできるわ。まあ、私のコピーはその場で消えるだろうけど」
「貴女、金属性なんだ。で、コピーへのダメージはあなたにフィードバックはあるのかな?」
私は多分大丈夫だと思っていても、怖い話を聞く。こういう能力は小説とかだと、大体フィードバックがあるから。
「ダメージは、30分の1あるわよ。そういえば時間停止とかだと2分の1とかフィードバックがあるらしいわね」
「じゃあ、痛いんだね。なら、今考えた作戦は使えないね」
「どういう作戦かしら? 話だけは聞くわよ。それに、私今の作戦出した時点で、痛い目見るのは覚悟しているわ」
「なら……」
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