『墓守リンネの救済』

キャッチコピー

奈落に堕ちた英霊を救え。


ジャンル

異世界ダークファンタジー


題名

墓守リンネの救済


――◆――


第1話 英雄、死す


「絶対帰ってきてね、兄さん」

「ああ、待っていろ。必ず冥王を討ってみせる」


 ブロンドの長髪をなびかせ、白金の鎧に身を包む剣士が大地に空いた大穴――『奈落』へと足を踏み入れていく。リンネは何日も何日も帰りを待ったが、とうとう兄は戻ってこなかった。


 英雄アベルが死んだ――……


 最悪のニュースは、瞬く間に広まった。リンネの兄アベルは、史上最強と称される剣の使い手であり、人類の希望だった。しかしその希望は今や絶望に変わる。


 奈落で死んだ人間は、奈落に取り込まれ魔物と化す。すなわち、史上最強の英雄の死は、そのまま史上最強の魔物の誕生を意味していた。


 リンネは決意する。

 兄さんを救わなければ。

 幾度も命の危機を越えて魔物を倒し、数多の人々を救ってきた兄さんが、奈落の底で魔物に身を堕とし人々を襲うなど、あまりにも救われない。

 兄さんの魂を救うには、魔と化した兄さんを……殺すしか、ない。そのためには、人の域を超えた力が要る。


 奈落街の墓守を代々務めるリンネ家には、決して触れてはいけない墓がひとつあった。かつての英雄が封じた魔人の魂が、今も眠っているという。


 リンネは奈落に臨むため、禁忌を犯す。


「お願い、力を貸して」

『いいぜ……ただし、お前を喰わせろ』


 魔に堕ちた英雄アベルを殺した暁には、リンネの魂を魔人に捧げる。リンネは契約を受け入れ、魔人の魂を憑依し強大な力を手にした。


「兄さんを救うためなら、悪魔にでもなる」


 リンネは様々な異世界が層を成す迷宮――『奈落』に挑む。道中、魔に堕ちた英霊達を倒しては、その魂を救っていく。剣士の英霊、炎術士の英霊、癒神官の英霊、狩人の英霊……数多の英霊を背負い、力を借りてリンネは奈落の底へ降りていく。


 奈落の底で待つ兄との再会。兄を殺し、自らもまた魔人に魂を売らねばならない。果たしてリンネは『救済』出来るのか、またリンネに『救済』は訪れるのか。



 ――墓守リンネの救済――




――◆――


以上!

めっちゃ重い。今のところ救いがない。このままだと書いても読んでも気が重くなるので、どう明るい・軽い要素を入れようかなと。うまいことその辺が思い付けば、次回作になるかも?

 


 


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