第10話 聖女、お部屋をもらう。
「こ、ここがわたしのお部屋ですか!? うそぉ!?」
案内されたお部屋に入ってすぐ、わたしはアホな声をあげてしまった。
さっきもアホな声をあげちゃったので、きっとライオネルからはアホの子と思われてるに違いない。
でもそれも仕方なくない?
だって――、
「こ、こ、このお部屋にわたしが本当に住むんですかっ?」
そこは上級貴族か大臣でも住むような、広々としたお部屋だったんだもん!
「一応ここは他国の王族や大使をもてなす
「ま、まさかです! ぜんぜんその逆で! わたしがこんなすごい部屋に住んでいいのかなと思いまして!」
だってこの部屋ってば広さは教会の礼拝堂くらいあるんだもん!
シェンロンにいたころのわたしの部屋の10倍くらいあるよ!?
誰も使ってない時は、なにかの集会にでも使用するの!?
豪華な
床は一面、毛足の長いふかふかのカーペットだし。
備え付けの机や家具は木目まで美しい超高級品だし。
しかも窓からは首都ブレストの街を一望することができるんだよ!?
「もちろんいいさ。だってクレアはこの国の救世主になるかもしれないんだよ? こちらが礼を尽くすのは当然のことさ」
「そ、そうなんでしょうか……?」
シェンロンにいた時は(庶民にしては)高い給料を払ってるんだから、仕事してあたり前――みたいな感じでそれなりの待遇しか受けられなかったのに。
しかもバーバラが手柄を独り占めするし。
「クレアが気に入ってくれたみたいで、よかった」
ライオネルがホッとしたように微笑んだ。
庶民のわたしにこんなにも気を使ってくれるなんて、神様仏様ライオネル様だね。
「こんな素晴らしい部屋を用意していただいて、本当にありがとうございますライオネル」
シェンロンをリストラされて一時はどうなることかと思ったけど、ブリスタニア王国に来て良かったぁ……ってわたしがしみじみと感動していると、
コンコン、ガチャリ。
形だけの適当なノックの後に、間髪入れずに入り口のドアが開いて、
「ライちゃん♪ 彼女を連れてきたんだってー? パパから聞いたよぉ?」
一人の綺麗な女性が入ってきた。
「姉さん、せめてノックの返事くらいは確認してよね。それじゃノックの意味がないでしょ?」
それを見たライオネルが苦言を
「でもぉ、お姉ちゃんに紹介してくれないなんてそんな冷たい弟くんはめっ!だぞぉ?」
女の人はライオネルの言葉なんてまったく聞いちゃあいなかった。
その女の人は、ゆるふわの金髪がとってもステキなすごくすごく綺麗な人で。
胸元の大きく開いた薄青のドレスが、壮大な胸の谷間をこれでもかとアピールしていて。
孤児院時代の慢性的な栄養失調が原因(と思われる。そう思いたい)で、平均よりはるかにぺったんこな男子顔負けなわたしの平坦な胸とは、月とスッポンだった。
もはや同じ女性とは思えないよ……ぐすん。
ううっ、めげるなわたし!
がんばれわたし!
フレー、フレー、わ・た・し!
あーあ、せめて人並みくらいにあったらなぁ……。
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