第21話

樽辺とは又、こういう事があった。    午後からの最初の授業で、それは古典だった。私は何故かその時、トイレに行きそびれてしまった。だからそのまま一時間の授業をその状態では受けられない、とても辛いと思った。                 なので間に合わないと思ったがトイレに行こうとしたら、樽辺が教室に入って来てしまった。その時の席は確か一番後ろだったと思う。だから急いで教室から飛び出して、トイレに走って行けば良かったのだ。だが、馬鹿だから聞いてしまった。         「先生。あの、トイレに行っても良いですか?」                 樽辺は私の顔を見た。一瞬の間があった。 「駄目です。」             「お願いします?!」         「駄目です。早く席について下さい?」  わざと、面白いからだ。普通なら、そんな状態で勉強などできない。頭に入らない。だったら、早く行って来いと言えばそれで済む。いつまでも戻らないなんてある訳ないのだから。だからとても意地が悪い男なのだ。  それで私は一時間必死で我慢をした。以後二度と、授業の合間や昼休み中に、トイレに行きそびれる事は無かった。        だから私は古典など元々嫌いで丸で面白くなかったが、余計に嫌だったから、成績は悪かった。                 体育も、今まではそんな事も無かったし同じに運動ができたのに、成績は余り良くなかったから、羽村がわざとそうしたのだろう。 だがもしかしたら、幾ら嫌いなタイプでも、私が樽辺にニコニコして愛想良く振る舞って、古典も頑張って勉強したら、そんな風に意地悪はしなかったかもしれない?一応は男だから、若い女の子にそうされたら?   いやいや、やはりそんな事は無い。そんな事を考えるなんて、私はやはり甘いのだ!! 何故なら、2年生になってからの事柄が幾つかある。これらをメインに書きたくてこの話をする事にしたのだから。 

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