第226話 バイコーン討伐
若干の物足りなさを感じながら、迷宮の攻略を順調に進める私達。
疲れたら、転移で一瞬にして湖に建てた家に帰れるしね。
さくさくと迷宮内を進んで行く。
「ーーはぁ、ようやく迷宮、20階層に到着だわ。」
私達はようやく、20階層へ到着する。
この階層では、どのようなボスやモンスターが出るのやら。
討伐が楽しみである。
この階層への期待が高まっていく。
「ふふ、この階層で見たことのないモンスターは出るかしら?」
「どうでしょう?この里自体、外からの出入りがないので、この迷宮の全容把握自体、全くされていませんから、どのようなモンスターに遭遇するか分かりませんね。」
未知なるモンスターとの遭遇に期待に胸を弾ませる私に、ディオンが苦笑する。
「あら、ディオン、この里の皆んなも、この迷宮の攻略はしないの?モンスターが増え過ぎるのも危ないでしょう?」
増えすぎたモンスター達が迷宮の外へ溢れ出たら、里の住人達は大変な事になると思うんだけど?
「さあ?私は家の外へ出る事を許されていなかったので、そこら辺の事情は分からないです。」
「うっ、なんか、ごめん。」
ディオンに聞く話じゃなかったね?
反省である。
「いえ、お気になさらず。今は妹のユリーファがいるから、この里に愛着を持てているだけで、昔から他はどうでも良かっただけなので。」
良い笑顔のディオン。
さらりと、辛辣な事を言うね?
「ーーと、ディア様、さっそく、モンスターの登場みたいですよ?」
「うん、ディオン、分かってる。」
ディオンに頷く。
さっきから、マップ上で赤マーカーが点滅してたし。
「あれ、は、バイコーン、ですか。」
コクヨウが武器を構える。
「「馬?」」
「そうだよ、フィリア、フィリオ。バイコーンは馬のモンスター。」
または、牛のモンスターとも呼ばれるみたいだけど。
馬、でも、正解。
「「エトワールと少し似てる?」」
「そう、ね。でも、2人ともバイコーンはエトワールとは違って、とても狂暴なの。」
「「悪いモンスター?」」
「正解。エトワールと少し似ていても、バイコーンには翼はないでしょう?」
「「ないー!偽物!」」
フィリアとフィリオも武器を構える。
ようやく、バイコーンも私達の存在に気が付いたのか、その足を止めた。
「あら、あちらもヤル気みたいね!」
口角を上げる。
さて、お手並み拝見といきましょうか。
武器を構える私達へ、素早い動きで突進して来るバイコーン。
「ーー『アイスランス』。」
迫り来るバイコーンの足元へ魔法を放つ。
バイコーンの足に深々と刺さる、私の放った氷の槍。
当然、命中。
痛みにか、バイコーンの足が止まる。
「ふふ、今度のモンスターは、一撃で終わらないみたいね。」
アディライトの危険を事前に察知する直感スキルにも引っかからないモンスターだから、どうかと思っていたが、嬉しい誤算だ。
「うんうん、冒険は、こうでなくちゃ。」
上機嫌で呟き、自分の身体へ強化を施した私は、バイコーンへ一瞬で距離を詰める。
「ーー・・武器では、どう?」
一閃。
バイコーンへと、一瞬で距離を詰めた私はレイピアを振るう。
舞う血。
「・・あぁ、倒しちゃった、か。」
倒れ臥す、バイコーン。
がっかりしながらも、倒したバイコーンの身体を空間収納にしまう。
「残り15階層、迷宮攻略に向けて頑張りますか!」
気合いを入れて歩き出す。
それからもサクサク進める迷宮攻略。
歯応えのないモンスターばかりだが、皆んなと倒した数を競ったりと白熱はしている。
問題なのが。
「皆んなが勝った時のご褒美を欲しがる相手が私、なのが、ねぇ?」
全員が私との時間が欲しいとか、一緒に出かけるなどの褒美を所望するとは思わなかった。
苦笑い。
概ね、迷宮攻略は順調と言って良いだろう。
レベルも少し上がり、喜ばしい。
そして、ついにーー
「・・ふう、とうとう35階層、ね。」
最奥地である。
見上げる、ボス部屋の扉。
「この階層のボスは、一体、何かしら?」
楽しめると良いのだけど。
目の前の扉に手を掛け、ゆっくりと押し開く。
煌々と光り輝く、広い部屋の中。
「ーー・・ワイバーン?」
奥に鎮座する一匹のモンスターの名前を、アディライトが呟いた。
「「トカゲ?」」
「ふふ、トカゲって、」
フィリアとフィリオの感想に、思わず笑い声を上げてしまう。
Bランクのモンスターであるワイバーンを、トカゲって。
強ち間違いでは、ないけど。
「ーーあちらはヤル気、の、ようですね。」
コクヨウが武器を構える。
ワイバーンへ視線を向ければ、羽根を広げて今にも飛び立とうとしていた。
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