第220話 謝罪の要求
まるで駄々をこねる子供。
見ていて痛々しい気分になるが、ユリーファの拒絶は当たり前。
「いっそ、哀れに見えるわ。」
どうして、誰かの身代わりにされて自分が愛されると思えるのか。
理解に苦しむ。
「はぁ、もう結構です。」
溜め息を吐く私に、全員の視線が向く。
「キチガイ男の妄想は聞き飽きました。うるさいので、黙っていて下さい。」
「っっ、無礼な!」
冷ややかな眼差しを向ける私に、顔を赤くして憤慨する屑な父親。
うざい事、この上ない。
「ーー・・ねぇ、黙れって言っているのが、分からないの?」
あまりの屑さに切れた私。
イラっとした為、軽く殺気を屑な父親へ向けて軽く放つ。
「っっ、ひっ、」
途端に上がる、屑な父親の悲鳴。
私の殺気に屑な父親が腰を抜かし、地面に尻を付く。
里の皆んなや、他の屑達には殺気はもちろん殺気は向けてないよ?
今は屑な父親とのお話だもの。
それに、断罪を知らしめる為に周囲の皆んなが殺気で気絶されたら、困るし。
私なりの優しさです。
「あのさぁ、愛する者の身代わりなど、この世にある訳ないでしょ?ユリーファにも、ディオンの母親にも失礼だと思わないの?」
他の誰かの身代わりで済むなど、そんなの本当の愛なんかじゃないと思う。
「さすが、屑だわ。そんな簡単な事も理解が出来ないんですね。」
呆れるしかない。
「そなた、そのもの言い、いささか無礼ではないか?」
「えっ、こんな犯罪者を敬う気持ちなど、私は1ミリも持ち合わせていませんが?」
私に批難の声を上げるヒシュタル。
が、切り捨てる。
「もしかして、ヒシュタル様は、この屑と同じお考えで?」
当たり前じゃん?
「もしかして、自分の娘を監禁して、無理やり妻にするのが、この里の常識ですか?」
こんな屑を擁護しようとする言葉など、聞く必要などないんだから。
言葉遣いにも気を使うのもバカバカしいから止める事にする。
「っっ、なっ、違っ、」
「貴方の今の発言は、そう言う意味に聞こえますけど?」
擁護する=同じ屑。
この屑を庇うって事は、私の中では、そう言う解釈になるんですけどね?
疑いの目をヒシュタルへ向ける。
「まさか、あの屑と同じお考えで同類、なのですか?」
「っっ、」
「ヒシュタル様、この屑、まだ庇います?その場合、この里単位で屑と同じ考え、となりますが。」
周囲を見渡す。
「皆様も、この屑と同じ考えで?この屑の事を庇います?」
首を傾げる。
したら、一斉に首を横に振る里の住人達。
「ふふ、皆様は、この屑の考えには賛同できない様ですよ、ヒシュタル様。貴方は、どうです?まだ私は犯罪者に対して無礼な人間でしょうか?」
「・・・。」
私から目を逸らすヒシュタル。
うむ、素直な事だ。
この屑と同類だと思われたくないもんね?
人間である私の事が気に食わなくても、これ以上は何も言えないだろう。
「ヒシュタル様、貴方がこの屑と同類ではないと言うなら、もう少し発言には注意した方が良いですよ?」
にこりと微笑む私にヒシュタルは完全に沈黙した。
「っっ、さっきから黙って聞いていれば、この私を侮辱しよって!」
「そうよ、人間の小娘が!」
「さっさと、この縄を解け、無能な人間!」
が、黙っていられないのが屑達。
怒りに震えていた屑な父親、罪人母子が仲良く吠える。
ふむ、侮辱、ねえ?
「あらあら、うるさい罪人一家です事。ご自分の立場を未だにご理解していないのですね?」
「何だと!?」
「黙りなさい、無礼者!」
「自分の立場を理解するのはお前の方だろう!?」
先ほど殺気を向けてあげたばかりなのに父親も学習能力がないのか、私の対して喚く事をやめない屑の家族達。
「はぁ、そんなにきゃんきゃんと吠えないでくださいます?耳障りだわ。」
「「っっ、!?」」
少し屑の父親にも殺気が足りなかったかな?
母子へ軽い殺気を放ち黙らせると、屑な父親へ微笑みかけた。
「ふふ、侮辱?私が、ですか?」
「そうであろう?この私を、よりにもよって、屑と言うとは!」
「いけませんか?」
「っっ、いけないに決まっておろう!ゆえに、謝罪を要求する!」
「ーー全て事実、なのに?」
呆れる。
それを言うなら、図星だから怒っているだけでしょう?
全て事実じゃないか。
「真実しか言っていないのに侮辱だとは、お笑いでしかないですね。私が謝罪する意味が分かりません。」
「ぐっ、」
「ふふ、それ以上は見苦しい抵抗はお止めになったら?見る方も不快ですよ?」
良い笑顔で屑を嘲笑った。
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