第172話 断罪
にっこりと満面の笑みを浮かべる。
拠点を得たとしても、この国への執着などないのだ。
いつだって、この国から出ていける。
困るのは私じゃないもの。
「まさか、お2人からその様な発言が出るとは思わず驚きましたわ。しかし、それ以上に私が他に驚いたのは、お2人からの不適切な発言を楽しんで見ていた方々がいた事ですね。そちらも不愉快でした。」
事実を知らなかったとは言え、王女達の発言を楽しんだ貴族達を私は許さない。
その中にはコクヨウへ対して侮蔑の向けた人もいたのだから。
「不愉快さを出された方が大半でしたが、王女様達のその様な発言を諌めないで楽しんでいた自国の一部の方々は皆、お2人と同じ考えを持っているのでしょうか?私が国王陛下の愛妾だと?」
「「「っっ、!?」」」
あら、不思議。
私の発言に顔面蒼白になる人がちらほら。
おバカさんね?
コクヨウに対して嫌な視線を向けた人達を私が許す訳ないじゃん?
そんな人達を貶められる機会があるなら、遠慮なく利用させていただきます。
「もしもそうであるなら、不適切な発言を諌める事なく沈黙を貫いて楽しんでいた方々も王女様達と同罪ですよね?不敬罪と言う名の。」
意味:意王女を諌めず楽しんでいた人達は同類扱い=内心では一国の王は誑かされた発言を肯定した。
と解釈が出来ますね?
自分は何も発言しなかった?
「まさか皆様は発言しなかったからと言って自分達は犯した罪から逃げるおつもりですか?可笑しいですね、誠の愛国心を持つ貴族の方であれば、不愉快さを出すなり王女様達の発言を諌めるのでは?」
そんな言い訳はさせない。
この場にいて王女達の発言を諌めず楽しんでいた時点で、私はその人も同罪と見做している。
「っっ、陛下、私どもは王女様達の発言を諌められませんでした。しかし驚きに言葉が出なかっただけで、決して他意があった訳ではないのです!」
「そうです、陛下!私どもは王女様達があの様な発言をするとは思わなかったのですわ!」
「言葉を失いました!」
「まさか、我が国の王女たる者があの様な破廉恥な発言をするとは夢にも思わず、本当に驚きましたなぁ!」
一部の貴族、カーシュ公側の貴族達は自分が助かる為に言い訳に必死ですね。
いやいや、貴方達?
そんな風に言い訳をしてしまったら、自分達は楽しんでいた張本人だと知らしめる事になりますよ?
この場合は沈黙でやり過ごすのが1番の得策です。
「あの人達もアホなのね。」
失笑する。
カーシュ公側の貴族達は、賢くない様だ。
ちらっと2人に目を向ける。
「うぅ、どして王女である私がこの様な目に!?」
「っっ、こんなはずじゃなかったの!」
そして、哀れ。
周囲の人達から完全に見捨てられた王女達。
誰1人として王女達を助ける人もおらず、人望の無さを知りました。
あんな傲慢な性格なら、それも仕方ないね。
「あい分かった。」
冷たい目を周囲へ向ける王ミハエル様。
少しは表情を取り繕って!?
他国の、しかも要人の人達の前ですよ!?
「ソウル嬢への2人の不適切な発言は事実無根であると王たる私が宣言する。」
すぐ様、事実無根の宣言する王ミハエル様。
が、しかし。
「しかし、王女達の不適切な発言を諌めず一緒に楽しんでいた者達がいるなど不愉快だ。他国の賓客を招いたパーティーだと言うのに、嘆かわしい。」
続く言葉に王ミハエル様の怒り具合を知る。
あっ、ダメだわ、これ。
王ミハエル様の怒りを含んだ低い声に私の心配は無駄に終わる事を悟った。
・・・相当、激怒ですね!?
「他国の皆様、この様な見苦しい所をお見せしてしまい、申し訳ありません。この件は国の威信をかけて慎重に調査する事を他国の皆様の前で宣言します。」
王ミハエル様が他国の賓客に向かい頭を下げる。
そして、頭を上げた王ミハエル様は言い訳した人達を睥睨した。
「他国からも賓客を招いたパーティーなのだから、人目は多くて調査も捗る事だろう。厳しく調査し、王女達の発言を肯定する様な者達は厳罰に処すから覚悟せよ。」
「「「っっ、」」」
真っ青になる人達が続出。
カーシュ公だけは憎々しげな眼差しを自分の弟である王ミハエル様へ向けている。
しかし、これで終わりではないのだ。
「そして、最後に私の奴隷である彼の事を置いて帰れとお2人から言われたのですが、この国はいつから法が変わったのでしょうか?」
最後のちくりを告げる。
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