第96話 アスラとユエの戦闘



迷宮11階層




「ギャギャギャ!」



コウモリ型のモンスターが私達を襲う。

視界を埋め尽くすほどの大群。

すかさず鑑定する。




コバット

Lv12




コバットって名前らしい。

特に私達の脅威ではないが、その数が多すぎるのが厄介だ。



「ーー・・コバット、ですか。ディア様の歩みの邪魔をするなど、万死に値する。」



弓をつがえるディオン。

コバットヘディオンの武器から放たれる無数の矢。

真っ直ぐにコバットヘと向かっていく。



「ギャッ!?」



ディオンによって心臓を射抜かれたコバット達は、真っ逆さまに下へと落ちる。



「まだ、敵がいるの!」

「叩き潰す、のです!」



フィリアの水魔法と、フィリオの火魔法が未だ残るコバットへ向かう。

2人の魔法により一瞬で、全てのコバットが倒れる。



「やった、の!」

「敵、いないのです!」



コバットを殲滅した事を喜び合う、フィリアとフィリオの2人。

うむ、2人の喜ぶ姿は何とも可愛い事だ。

頬が緩んでしまう。

それにしても、2人は魔法の扱いに慣れたのか発動までの流れがスムーズに行われていた。

本当に優秀である。



「うーん、やっぱり、この階層に出てくるモンスターも今の私達の敵ではないね。」



私の出番もないかも?

多少の物足りなさを感じながらも、そのまま私達の迷宮攻略の探索は続く。

迷宮攻略も、12、13、14、15階層も難なく進んだ私達。

順調と言えるだろう。



「ーー・・お茶です、ディア様。」

「ありがとう、アディライト。」



今日もアディライトお手製の美味しいお昼も食べ終わり、今は皆んなでまったり中。

アディライトが手ずから淹れてくれたお茶は、本当に美味しいね。

疲れも癒される。



「ディア様、今日の迷宮攻略の目標は、確か20階層まででしたよね?」

「うん、そのつもり。」



今の所、その目標に変更はないつもりだ。

無理する必要はないからね。



「では、その前にディア様のご所望のデザートをご賞味ください。」

「やった!ゼリー!」



アディライトから出されたゼリーに飛び付く。

待ってました、今日の一番の私の楽しみのデザート、ゼリーさん。



「ありがとう、アディライト。」



感謝である。

満面の笑みで、私は食後のデザートであるゼリーを堪能した。



「今日も美味しかった。」



満足。

満たされた気持ちで迷宮攻略の再開。

無事、私達は16、17、18、19階層も何の問題もなく攻略を済ます。



「ーー・・あと残るのは、この階層のボスだけ、ね。」



私達の前にある20階層。

この階層のフロアボスが待ち構えているであろう部屋へと続く扉がそびえ立つ。



「20階層のボスって、カマキリ型のモンスターだっけ?」

「はい、ディア様。リリスさんの情報によると、そのようです。」



私の疑問に、コクヨウが答える。



「今回もディア様がこの階層のボスと戦われますか?」

「うーん、今回は止めとく。」



経験値は欲しい。

が、だからと言って、今回も私がボスだけ倒すのもあれだし。



「今回のボスは、ユエとアスラの2人が相手をすれば良いよ。それで良いかな、2人とも?」



他に皆んなに比べてまだレベルが低い2人。

今の内に、ユエとアスラ2人のレベルの底上げを図りたい。



「うむ、承知した。」

「良いだろう、ディアの期待に応えてみせよう。」



何の問題もないと2人が頷く。

うん、頼もしい事だ。



「じゃあ、扉を開けるよ。」



ゆっくりと、目の前の扉を押し開ける。

さぁ、私達の本日最後の戦闘へと向かいきましょうか。

開くボス部屋の扉。



「シャャャッ!」



そんな私達をカマキリ型のモンスターが爛々と瞳を煌めかせ出迎える。



「ーーふむ、あれが、この階層のボス、か。では、ユエよ、この戦闘さっさと終わらせるとしようぞ。」

「承知した。」



膨れ上がる2人の威圧感。

次の瞬間。

その姿がブレたと感じた時には、2人は敵へと肉迫していた。



「2人の身体能力は、やはり高いね。」



ボスである敵は、2人の早さに追いつけていない。

肉迫したアスラの重量魔法がその足を止め、ユエの風魔法が敵を倒さんと炸裂する。

最後にユエの氷魔法で作り出した槍が敵へのトドメを刺した。



「2人の連携も何の問題もなさそう。」



見事な2人の戦闘で私達は今日の迷宮攻略を終えた。

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