第81話 迷宮2〜10階層

《迷宮2階層》



アディライト、ディオン、フィリアとフィリオの4人と活躍と、ユエの支援であっさりと2階層への階段を見つけた私達。

ここまで全ての戦闘は全て瞬殺で終わった。

物足りなさの残るまま、2階層への階段を私達は登る。



「・・・またコボルトの群れ、ですね。この迷宮の低層はコボルトしかでないのでしょうか?」



私の隣でコクヨウが呟く。

2階層に上がっても、出てくるモンスターはコボルトの群ればかり。

これまで皆んなが倒したコボルトの遺体は、全て私の空間収納の中にしまってある。

後で冒険者ギルドで買取してもらわなくては。



「ふふ、こうも変わりばえしないと、ちょっとつまんないね?まぁ、マッピングが楽しいから私は良いけど。」



真っ白だったマップが埋まっていくのは中々面白い。

だから別にコボルトが相手でも、ここまで私は全く退屈はしていないんだよね。



「ディア様がよろしいのであれば、僕は何も言う事は有りません。あっ、ようやくオークも出て来ましたね。」

「・・オーク、ねぇ。今の皆んなの敵ではないんじゃない?」

「えぇ、オークも瞬殺でしょう。あぁ、ディオンが魔法を放つようですね。」



私とコクヨウがのんびり話していれば、オークの足元へ向かってディオンの風魔法が放たれる。

足元へ放たれたディオンの風魔法で、オークが体制を崩す。

その一瞬の隙を皆んなは見逃さない。



「ぶもぉ、」

「ーーー・・終わり、です。」



体勢を崩したオークの元へ素早く接近したアディライトの大鎌が振るわれる。

離れるオークの胴体。



「アディライト、カッコいい。」



素敵。

やっぱり、武器を大鎌にして正解だった。



「アディライトも武器の扱いがとても上手くなりましたね。それに連携も上手いです。」

「うん、今の皆んななら、この階層も楽勝だね。」

「慢心は出来ませんが、このまま気を抜かなければ、ディア様が参戦しなくてもこの階層はあの4人とユエだけで大丈夫でしょう。」



頼もしい皆んなの戦いを眺めつつ、倒したオークを空間収納へしまう。

これなら外へと出れる転移門がある10階層を今日の到達目標にして大丈夫そうだ。

さて、3階への階段はまだかな?





《迷宮10階層》




皆んなの活躍で、さくさくと進む迷宮攻略。

途中、敵の気配がない時を狙って迷宮内でお昼ご飯を終えた私達は午後も順調に進み、ようやく今日の到達目標にしていた10階層へ到達した。



「コクヨウ、確かこの10階層にはボスがいるんだよね?」

「はい、そうです、ディア様。リリスさんの調べでは、この階層のボスはミノタウロスだそうですよ。」

「ミノタウロス、か。」



この世界で、私が初めて見るモンスターだ。

ファンタジーの中では、お馴染みのモンスターでもある。



「うーん、コクヨウ、ミノタウロスのお肉って食べられるのかな?」

「食べられますよ。しかし、固くて美味しいくはないらしいですが。」

「そっか、残念。」



お肉が美味しいのなら、アディライトに調理してもらうのに。

残念である。



「あっ、でも、お肉を柔らかくする方法をアディライトに伝授すれば食べられるのでは?」



日本では、そう言う知識は豊富に得られた。

この世界でも、お肉を柔らかくする方法が使えるのでは?



「俄然、やる気になってきた。せっかくのボス戦だし、私も皆んなと一緒に戦闘に加わろうかな?」



まだ1回も戦闘に加わっていないし、この迷宮攻略は安全第一。

ボス戦ぐらい、私も加わろうかな?



「ディア様がボス戦に参戦されるのであれば、僕もご一緒いたします。」



コクヨウもヤル気を見せる。

うん、コクヨウも加わるとなるとこの階層も大丈夫そうだね。

慢心はしないけども。



「先ずはこの階層のボス部屋を探さないと、ね。」



焦りは禁物。

じっくりと、この階層も何事もなく攻略していきたい所だ。

そう、美味しいお肉の為にも。



「っっ、ディア様がボス戦に参戦されるのですか!?」

「ディア様のご勇姿が見られる!?」

「フィリオ、私達も気合いを入れ直さなくちゃ!」

「そうだね、フィリア!」



私がボス戦に参加を告げれば、アディライト、ディオン、フィリアとフィリオの順で色めき立つ。

ユエは何も言わないが、その瞳は嬉しそうに輝いて見えるのは私の気のせい?



「・・・えっと、皆んな今まで通り戦ってくれれば大丈夫だよ?私がボス戦に参加すると言っても変に気負わなくてもーーー」

「いけません、ディア様!ディア様のご勇姿が近くで見れる大事な戦闘に抜かりがあっては、ならないんです!」



アディライトの瞳に火が灯る。

その後ろでは、全員がアディライトに同意と言わんばかり頷いた。



「万全を期さなくては。」

「ミスがあってはなりませんね。」

「「頑張るの!」」

「・・・あぁ、うん、皆んな頑張ろう、ね?」

「「「「はいっ!」」」



皆んながやる気になっているなら、水を差すのも野暮だよね?

うん、もう何も言いません。

皆んなで周囲を警戒しながら、この階層のボス部屋を探した。

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