第20話 図書館と決意

鼻歌を歌いだしそうになりなが、辿り着いた目的地である図書館。

さっそく図書館の中へと入る。



「いらっしゃいませ。ようこそ、ルーベルン国の図書館へ。」



そんな私を笑顔で出迎えてくれる、受け付けの青年。

だから、私も相手に笑顔を返す。



「こんにちは。」

「っっ、」



そうしたら、ほんのりと頬が赤くなる受け付けの青年。

あぁ、無駄に良いもんね、今の私の顔は。

私への害意が全く無いので、まるっとそれは無視をして。



「あの、利用したいんですが。」

「っっ、かしこまりました。お客様は、当図書館をご利用されるのは初めてでしょうか?」

「えぇ、利用するのは初めてです。」

「では、ご説明とお支払いについて話させていただきますね。」

「お願いします。」

「当図書館をご利用する前に、お客様にはまず銀貨8枚をお支払いいただきます。なお、お帰りの際にこの銀貨8枚は戻って来ますので、ご安心下さい。ですが、本を破いたり、粗末に扱った為に破損した場合は、戻って来ませんので、ご注意を。」



さすがは、プロ意識と言った所か。

動揺は最初だけで、淀みなくスラスラとした分かりやすい説明だった。



「まず銀貨8枚の支払い、ですか。」



最初に保険をかけるって事か。

大事な本たちに何かあったら、それこそ大変だものね。



「分かりました。銀貨8枚支払います。」



銀貨8枚を支払う。



「確かに、銀貨8枚お預かりいたします。」

「聞きたいのですが、どこに何の本があるか、教えてもらう事は可能ですか?」

「もちろんです。何の本をお求めですか?言っていただければ、お席までお持ちいたします。」



おおう。

欲しい本を席まで持って来てくれるなんて、何てサービスが良いんだ。

感動である。



「そのサービスは有料になりますかね?」

「いえ、無料ですのですよ。」



まさかの無料。

何ともありがたいサービス。

この膨大な本の中から自分で探すのは大変だったので、とても嬉しい。



「ありがとうございます。では、この世界について1番詳しく書いてある書籍と魔法関連と、後、地図をお願い出来ますか?」

「かしこまりました。ご用意してお席までお持ちいたしますに少々お時間を頂きますので、お席でお待ち下さい。」

「はい、よろしくお願いしますね?」



やったね!

この世界の情報を、得られそうだよ!!

るんるん気分で、私は空いている席まで歩いて行く。

しばらく待てば、集めてくれた本達が届いたので、中の内容に目を通していく。




『リグラルドセル大陸』

・人口80万。

・リグラルドセル大陸の国は、大国が4つ、小国が4つの8国からなり、中央に魔の森が広がり、その多くの国では、貴族社会となっている。

・爵位は、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順で、彼等の頂点は王。

国の成り立ちは、ダンジョンを軸にして発展していったとされ、各国の領主の監視下の元、攻略が進められている。

・人間の成人は15才であるが、種族によって違う。

・人種は、人間、獣人、エルフ、ドワーフ、精霊、天使族、魔族。

・犯罪者は、その犯罪の重さによって奴隷に落とされる、又は鉱山での永久労働を科され、資材もあり得る。

・約100年前、魔族と連合国が戦った。劣勢だった連合国だったが、聖王国が他の世界から1人の勇者を召喚した事により、戦局は変わる。勇者と魔王は激闘の末、魔王を倒す事が出来たが、勇者も深傷を受け、元の世界へ帰る事になった。




「この世界について本を読んで分かった事を要約すると、こんな感じね。」




色々の種族がいる世界。

本当にファンタジーの世界である。



「ーーそれにしても、」



勇者と魔王、か。



「はぁ、やっぱりいたんだ。」



定番だしね。

地図を見る限り、こちらも地球のように丸い地形で、完全な王族と貴族からなるヒレラルキー社会らしい。

それにーーーー



「・・・奴隷、も、いるのね。」



ファンタジー小説には、奴隷の存在が必ずあるもの。

私は、もちろん奴隷の人間に対して嫌悪感がある訳じゃない。

それを作った国に不満なんだ。

犯罪奴隷は、あっても仕方がないと思う。

でも、止むに止まれぬ事情があって犯罪を犯してしまった人は?



「・・・ただ、自分を守る為に、払う国への税が足りない為に奴隷にされる。それが、この世界。」



なら、私が壊してやる。

決めた。

この世界で、すべき事を。



「大勢の奴隷を買い、私のスキルの力で全員を最高の冒険者に育てる。もう誰にも搾取され、理不尽に大切なものを奪われない為にも。」



冒険者を選んだのは、力が手に入り、お金も手にしやすいから。

奴隷の子達を死なせない為に、私のスキルで力を与えて強くすれば良い。



「それに、奴隷なら絶対に私の事を裏切れない。」



契約で縛られるから。

私の力の秘密を守り、何があっても裏切らない存在。



「なら守りましょう、私が持ち得る、全ての力をもって。私から奪おうとするなら、容赦はしない。」



守ろう、愛おしい子達を。

まずは、戦力になる子である奴隷を買わなくちゃ。

この世界で、私のすべき事。



「幸い、奴隷を購入する為の資金は潤沢にある事だし、ね。」



リデルがくれたお金がまだある。



「なら、その大量にあるお金をありがたく使わせてもらいましょうか。」



空間収納の中で腐らせるよりは良いだろうし、有効活用しましょう。

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