『交響曲第5番ハ短調』

やましん(テンパー)

『交響曲第5番ハ短調』

 『これは、一部を除いて、フィクションであります。』



 やましんは、わけのわからない、病魔と闘っておりました。


 4時間に及ぶ、手術の途中で、麻酔が切れてしまって、そらもう、地獄の苦痛でありました。


 手術後、夜中には、当然、熱が出ます。


 死にそうではないけれど、手術したら、多少の細菌は入る。


 『ああ、ベートーベンの第5を、聞かせてくらさい。』


 小さな、CDプレイヤー、叩きつけるハ短調の音の固まり。


 やがて、もう、諦めるか、疲れたな。


 いろいろあったが、やましんは、結局、役立たずとされてしまった。



 いや、いや、そうはゆかない。


 へたでも、なんでも、老後は、お話しを書くという、理想は、どうする。


 

 だいたい、まだ、北京ダックも、フカヒレも食べてない。



 第三楽章からの、ながい、ブリッジのあと、ついに、勝利の凱歌が鳴り渡るのだ。


 おおお、これが、ベートーベン先生だ。


 おしりを、ぶったたきながら、生きろ、生きろ、と、迫ってくる。


 くっそう。痛いけど、北京ダックが待っている。


 いや、名古屋コーチンでもいい。


 いや、スーパーの、とり天でもいいや。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 体内の、ウィルスさんも、感動していた。


 『こ、この、圧倒的な迫力は、なんだ。おおお、力が沸き上がる。すばらしい。抗菌薬なんかに、負けるものかあ❗』


 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

             おしまい

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『交響曲第5番ハ短調』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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