チートスキル「一発逆転ボタン」を手に入れた僕が最強になれない筈が無い

かんばあすと

第1話 僕が魔王に間違えられた話

 ある日、目を覚ますと僕は謎の世界に居た。


「遂に追い詰めましたよ! 赤き魔王サンタクロス! 貴方の野望もここまでです!!」


 空が黄金色に輝く雲上の世界で、背中に翼を8枚生やし、白いひげを沢山蓄えた謎の渋い……というより小汚いオッサンに、僕はキメ顔で指をさされている。


 取り合えず状況が飲み込めない。さっきまで僕はベッドの中で安眠していた筈だ。間違いない。だってパジャマだもん。数時間後には仕事行かなきゃならない。


「この場所こそお前の墓場です、サンタクロス!!」


「ええい僕の名前を英語表記で呼ぶなぁあああああああああ!」


 オッサンに何度もキメ顔で叫ばれているのが僕の本名である。黒須賛太と書いて、くろすさんた、という。両親の悪ふざけで付けられた、何とも『輝かしい』名前だ。


「問答無用ォオオオオ!!」


 変なオッサンは右手を掲げると、その手に雷の槍みたいなものを作り出していく。なんだあれ、魔法? なんか肌がピリピリする。それに凄い眩しい。


 僕は現実味の無い目前の全てに放心した。

 ああ、夢にしては妙にリアルだなぁ。


「死ねぇえええええええ」


「嫌ですが!?」


 オッサンが四肢をムキムキにして、雷を全力で投擲してきた!


 流石に僕もその迫力に圧倒されて逃げたけど、迫る雷は速すぎて避けようがない。当たる! 死ぬ!


「うわぁあああああああああ」


 直撃すると感じた瞬間。

 僕の意識はそこでぷつん、と切れた。

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