第二部_アメイジング・ワールド
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――或る者は、この世界を楽園に見立てた。
それは、その人物にとっては間違いではないのだろう。
彼は世界でありとあらゆる成功をおさめ、伴侶を手にし、その果てに、幸せ過ぎて、全てに意味を見出せなくなった。
永遠に続く凪の世界において、人は不幸を知らない。
無限の成功体験と充足。ぬるま湯につかるようにして人格は解れて行き、魂は希釈され、そして無に返る。これを、天国と仮定する。
では、楽園とは何か。
この世界には、天国と地獄を区別するような境界線が存在しない。楽園を天国とすれば、楽園の領土の外は楽園ではない場所となる。
故に、楽園とは到達点である。
故に、この世界は楽園とは程遠いことが分かる。
この世界の一部分は楽園なのだろうが、だからこそ、この世界の大部分は楽園ではない箇所である。
この世界には楽園があるが、この世界そのものを楽園と呼ぶべきではない。
これからの物語は、それを証明するためのモノである。
この世界は、決して楽園ではないということを。
第二部【アメイジング・ワールド】
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