第7話 八十神と戦う
数百人の男たちが、地煙をあげて道を走ってくる。
青銅の剣や弓を持っている。
兎は、カイの背後で震える声で言った。
「カ・・カイ君?に・・逃げていい?」
カイは、落ち着いた声で言う。
「まぁ、何とかなるでしょ。見てて」
カイは、首に掛けられていた首飾りを外し胸の前で握る。白い輝きが伸びカイの左手には白い鞘の剣が現れた。
「え?どこから・・?」
キィン
柄にある翼のような飾りが開くと、カイは剣を抜き放った。
リィィ・・・
刃が青白く光り、鈴のような音が発せられる。その剣は明らかに青銅とは異なる金属。
「さて、兎ちゃん。離れててね、危ないから」
「は・・はぃ・・」
兎が離れると、呪文をつぶやく。すると、カイの体がぼんやり光り、バリバリという音と共に蛇のような光の帯が躍った。
「うぉぉぉぉ!」
男たちが雄たけびを上げて、切りかかってくる。カイは踊るようにくるくると回転しながら男たち間を舞った。
すると、まるで木の葉を切ったかのように青銅の剣は切られて真っ二つになっていく。
「な・・なんだその剣は?噂に聞く”鉄”というやつか?」
男たちは足を止めひるんだ。
「残念でした。オリハルコンでできてるんだよ」
カイは、クルクルと男たちの間を舞い続けながら笑った。
「構うもんか、殴りかかれ!」
一斉に、襲い掛かられる。その拳が触れる寸前、殴りかかった男たちは痙攣しぶっ倒れた。焦げたにおいが、あたりに漂う。
「ちなみに、僕は雷をまとっているからね」
カイはニヤッと笑って言った。
「触れると痛いぜ」
カイの方から男たちに触れていく。触れるだけでぶっ倒れていき、何十人もの男たちが山になっていく。
「ええい、矢だ。矢を射かけろ!」
今度は、弓を持った男たちが矢を放ってきた。
「きゃああ!!!」
悲鳴を上げる、兎。
「大丈夫」
カイが言うと同時に、何十もの魔法陣が空間に現れた。その魔法陣によってすべての矢は跳ね返される。
一本たりとも、矢は到達しない。
しかし、戦況は膠着状態になった。
男たちは、遠巻きに矢を射かけるのみ。近づいて来なくなった。
カイは攻撃ができず、兎を矢の雨から魔法陣で守るだけになった。
「うーん、カイ君。この状態、何とかならないの?」
カイにも攻撃魔法はある。しかし兎を巻き添えになるため、使えない。
「ま、ヒロが戻ってきたら何とかしてくれるでしょ」
カイは剣を鞘に納め、腰に手を当てため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます