風のように流れる詩集

あおいたくと

Time Brake

あなたの時間は止まるのに

わたしの時間は止まらない

秒針が一つずつ刻まれて

置き去りにされた時間が遠くなる

耳を塞いでかわした鐘の音が

心の奥底に染み渡る

誰もわたしの時を止めてはくれない

誰もあなたの時を動かしてはくれない

それは分かりきったこと

けれどここから一歩踏み出せば

二度とここには戻ってこれないことも知っている

これはただの未練の端くれ

もう少しだけ時間をちょうだい

そんな望みすら叶えてくれず

誰かが背中を押そうとしてる

過去を懐かしく思う時間もくれない

先読みすら出来ない未来に放り出そうとしてるのは・・・


思い出にすがるのを許してくれなかったのはあなただった

ただ何もかもを忘れて歩き出せと諭したのはあなただった


時計の魔法は唐突に切れ

繋いでいた手も背中を押した手も思い出せない

ただあの瞬間に縛り付けられた時の記憶だけが残り

その余韻が今でも胸を締め付ける

背中を押す手に抗い振り返った

最後の笑顔がもっと痛い

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