自殺したら異世界転生したのだが、俺以上にヤバい奴が沢山いたので、もう俺が全員面倒見てやる!

無理

第1話 人生から逃げたい!

俺のような屑には、生きている価値がないのだ。


そう思い、首に輪をかける。

部屋の中にはゴミ袋や食べかけで放置したインスタント麺が転がっており、小蝿がぶんぶんと飛び回っている。


足元には椅子と手元には首吊り用のロープ。しっかり切れないように結ぶのが大変だった。それを握りしめ、ゆっくりと首を通す。


思えばろくな人生ではなかった。親は俺を嫌い、躾という名の暴力なんて日常茶飯事だったし、今でも俺の家を見つけては金をせびりに来る。


友達という友達は俺を嘲笑うか見下すかの2択だった。仲が良いも悪いもない。合わせてやれば満足そうにするだけの、薄っぺらい奴ばかりだった。


会社はブラックで散々こき使われて挙句、俺が末期癌だと知れば雀の涙ほどの退職金を掴ませて会社を追い出した。今までの残業代なんて出るわけがない。


俺が悪いのか。

誠実に生きれば、幸せになれると思っていた。

誰かを踏み潰して、

生きる覚悟も勇気もなかったからなのか。

死ぬかも知れない、

中途半端な俺は、

もう明日が恐ろしくて仕方がないんだ。




それなら、

自分で死んでやる!



そう思い、

一気に椅子を蹴り、

全ての体重が俺の首をへし折った。











…はずだった。



[×××××××××××…]




(ん?何か…声?)

そう思った瞬間、首がふっと楽になる。宙に浮いた体は、

そのまま「空」を落ち始めた。



「う、うわあああああああああああ!」





ものすごい浮遊感に胃から何かが込み上げてくる。何日も食べてない筈なのに吐きそうだ。


(し、死ぬっ!)


さっきまでは死にたいと思っていたけれど、急すぎる展開に頭がついていかない。



ふと体を回して下を見ると、森がすぐ目の前に迫っていた。



「ぎゃあああああああ!」



ドッシーーン


森が一段と大きく揺れた。ワシャワシャと木の枝に引っかかりながら落ちていき、尻餅をつく。腰骨がゴキリと変な音を立てた気がしたが、なんとか立ち上がった。


「なんだ、ここ…?」


森の中、ということしかわからない。

とりあえず全身の土埃を払って立ち上がった。


「どうしよう」


「きゃあああっ!」


自分のものではない悲鳴が微かに聞こえた。






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