サキュバス、メイドインヘブンのためにドロローサへの道を歩みました22

 突然んな事言われたって分かんねーだろ。探せつったって見つかるもんでもなし。そういや俺もやりたい事なんて何一つなかったんだよなぁ。とにかく寝てゲームしてアニメ観てプラモ作ってまた寝る生活ができたらそれで満足だなぁなんて思いながら進路相談とか受けてたっけ。担任もそんな俺の事をしっかり理解していたのかうるさく言わなかったがお母さんは面倒だったなぁ……なんだっけ、高校二年の頃、俺があまりにやる気ないもんだから希望進路勝手に機械設計関係って書かれて理工学系の大学進学強制させられそうだったんだよな。なんでって聞いたら「製造大国日本!」とか答えやがる。おいおい二次産業は衰退の一歩でこれから先は理論と研究成果を売っていく時代になるぞ何なら日本は今よりも人件費削って生産していく事になるが大丈夫かなんて思っていたが口も出せず、仕方ないから(ジオマトリクス)って隠れて書いて提出してやったんだよな。で、三者面談の時にそれ出したらめっちゃ怒ってるのが伝わってきてふざけ過ぎたかって思ったんだけども担任が「いいですよねフロートパーツ」なんて言ってきたもんだから火に投擲銃。怒りのリミッター解除でブースト全開だったよ。面白かったからいい思い出になっているけどもね。いかんな。新作発表がされてから最近どうもACこの事が頭から離れない。おいおい何年ぶりの新作だよ待たせやがってもう身体が闘争を求めるとか言ってる場合じゃなくなってきたんだからなチクショウありがとう。重量級ACの馬鹿火力で市街戦してぇなぁもう! 


 アーマード・コアシリーズ最新作! 

 ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON!

 令和5年に発売予定!

 







「そういやクリスタルはいつからモデルやろうって思ったんだ?」



 アーマードコアはまた今度。今は一旦話の収集をつけねばなるまい。ここは現在進行形で夢を追い求める人物に話を伺おう。




「私? 私はね~大分子供の頃からなんだけどもね~? そんなに面白い話じゃないんだけど~、聞きたい~?」


「参考程度にはなるかなと」


「そ~お~? なんか~自分語りするのって悪い意味で恥ずかしいんだけど~たまぁ~にいらないお喋りとかしたくなる時ってあるから~まぁ、そんな日が来たと思ってお話しするね~?」


「あぁ」




 前置きが長い。




「じゃ~するけど~。私って~小学校低学年までは背が高い方だったんだよね~?」


「え? 嘘だろう? 今が小学校中学年みたいな身長なのに?」


「ほんとほんと~まぁ仰る通り三年生くらいで止まっちゃったんだけどね~? でもそれまでは私が一番大きくって~将来はモデルだね~なんて母親とかから言われたのよ~。それでその気になっちゃて~“将来パリコレに出る~”なんて意気込んでで~実際に事務所に入って子供用のファッション誌に載ってたりしたのよ~。でも~四年生~五年生になってくるとそれも難しくなってきちゃって~。最初はそんなもんか~って感じだったんだけど~なんか無性に悔しいというか~悲しいというか~努力じゃどうしようもない現実を知ってしまったっていうか~ともかく無性に心がそわそわして~……いやぁ~情緒不安定だったな~あの頃~どうにでもなれ~って感じで悪い事もしたし~」


「不良にでもなったのか?」


「うぅん~? いじめてる子とかを~バットで思いっきり殴ってたんだ~。相手が悪い人間なら八つ当たりしてもいいや~って感じでね~? 我ながら馬鹿だったな~って思うよ~?」


「ふぅん。でも相手も悪いんだし、いいんじゃねぇの? 子供の頃だし」


「でも暴力はよくないな~って思うのよね~。まぁライコちゃんとはそれで知り合ったんだけど~」




 ライコ……あぁ、ドグ(のっぽ)の金石 ライコか。なんだ小学生以来の付き合いかよ。仲いいなおい。




「いじめられてたのを助けたみたいな?」


「逆だね~?」


「逆?」


「そ~。私が~ライコちゃんをバットでぶん殴ったんだ~」


「……それでよく友達になれたな」


「私も不思議でしょうがないんだよね~まぁ~最初はやっぱりバチバチだったんだけど~なんかお互いファッションの事好きだからいつの間にか意気投合しちゃったみたいな~?」




 バットでぶん殴られて投合できるもんなの意気って。俺の知らない世界だ。少なくとも俺がバットでぶん殴られたら生涯にわたって擦り続けてやるけどな。




「で~ライコちゃんとか~他の友達ともファッションの話をしてると~なんとなく自分が惨めに思えてきたんだよね~。なにかのせいにして好きなものを諦めたり避けるようにするのってよくないな~って。で~モデルになって~私なりに夢を叶えてやろうって決めたのよ~それで今はこんな感じ~」


「なるほど。終始一貫してモデルになりたいと思っていたわけだ」


「そうだね~だから~あんまりワイルドボルトちゃんの参考にはならないかも~」


「あ、そんな事ないですよ。凄くいい話でした。何かを好きになるって、そんな風なんだなって」


「ワイルドボルトちゃんはないの~? 趣味レベルとかでもさ~好きな事~」


「う~ん……ないかもしれません。漫画なんかはよく読むんですけど、別に自分で描きたいって思うわけでもないですし」




 そうだよな。だってお前、生まれてからずっと修行してたんだもんな。そりゃあやっぱり見えねぇよ。やりたい事なんて。

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