君に伝える、最初の「愛してる。」

ろーすとびーふ。

プロローグ

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」


 息が詰まることもお構いなしに、俺は校舎の中を走る。「校舎内を走ってはいけません!」と教師が言ってくるが、そんなことを守っていられるような精神状態ではなかった。

 あの人の──いや、あいつの馬鹿にしたような笑い声が耳の中で響き続ける。不快だった。その声を振り払うように走る速度を上げるが、その声は振り払われるどころか、頭の中でどんどん大きくなっていく。

 思ってもいなかった──好きな人に振られることがこんなに辛かったなんて。

 いや、ただ振られるだけならここまで辛い思いはしなかったと思う。悲しくはなったと思うが、こんな半狂乱のような状態にまでははならないだろう。それほどまでに、今の俺はおかしかった。

 忘れたかった。この気持ちと、この記憶を。人を好きになる気持ちなんてなくなればいいと思った。


「───ぁぁぁぁあああああああ!!!!」


 気が付けば俺は走りながら叫んでいた。どこに行くわけでもなく、ただあの場所から離れるためだけに。学校にいた生徒が何事かとこちらに顔を向けてくるが、そんなことはどうでもよかった。それよりも今はあいつから離れるのが先決だ。


 ──あいつの顔を見たくない。

 ──あいつを思い出したくない。

 ──あいつと同じ空間に居たくない。


 そうした思考に身を任せて、走り続けた。

 そして、俺は──






──────────────────────────────────────

初投稿です。

まったりと更新していきますので、よろしくお願いします<(_ _)>

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