おっさんが一念発起してラノベ作家になろうとしたら異世界転生した。ちなヒロインブサイク。

黒煙

第1話 破磁魔利

 


「なんだってんだ、この世界は!」




マナブは絶句した。彼方まで広がる大草原。そこかしこに見える森林の数々。


どう見ても日本の風景ではない。

ドイツか、どこかヨーロッパのなんちゃら地方みたいだと、昔観たテレビの映像を思い出した。



ふと見ると、草原の中に黒い点のようなものが見える。



何かいる・・・



マナブは元々眼が悪いが、コンタクトをしていて今は視力1.5だった。



ドラゴンだ・・・



こちらを見ている。

ていうか、近づいてきている。



「マナブ・・・マナブよ・・・」



気がつくと目の前に女神が現れた。

そのあたりから、あ、これは今流行りの異世界転生というやつか、と実感してきたのだが、

なんか解せないのが、女神がブサイクなことだ。


巨乳ではあるのだが、目と目の間が広く、魚みたいな顔だ。

あと太っている。


こいつが俺を転生させたのか。

俺何してたっけな。家にいたんだ。

無職になって10周年記念に1人で一杯やってたんだったな。

会社通いもダルいから、ラノベ作家になろうと一念発起して、カキヨミという小説投稿サイトを開いた時だったかな。

なんか体が光に包まれて意識がなくなって・・・



「マナブ・・・マナブよ・・・」


おお、忘れてた。


「あなたはこの世界を救うために召喚されました。

魔王を倒し、この世界を救うのです」


ブサイクが何か言っている。


「手始めにあそこにいるドラゴンを倒すのです」


ドラゴンはすでに10メートルくらいの所まで来ている。



手元にあるのは飲んでいた缶ビールのみ。


「あのぅ、何か武器とかないですか?」

「ないです」

「俺強くなってたりします?」

「前の世界とステータスは同じです」


しーん。


迫り来るドラゴン。


続く。







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