第2話 始まり
彼と出会ったのは17のときだった。
出会った? 違う。
一方的に知った。
野球の応援に来てた。
甲子園、一歩手前まで勝ち進んでたうちの学校。
かったるかったけど、全校生徒で応援しようとか言って、真夏の球場に駆り出された。
彼は真っ青なTシャツで、最初ちょっとひいた。
でも気になって、チラチラ見ていた。
かっこよかったし。
うちは負けたけど、なんかいいなって夏だった。
あの青さに惹かれた。
5年後。
就職活動で再会した。
面接官だった。
彼は私を知らない。
でも、私は彼を覚えていた。
「愛美ちゃんがうちに受かったら、一緒に仕事がしたいな」
笑顔でそんなことを言われて、うつむいたのを覚えてる。
ああ、やっぱり気になるな。
これ、好きってことなのかな。
この会社に受かったら、彼に毎日会える。
お祈りメールが届かないよう、初めて神様に願った。
ねぇ神様、お願い叶えてくれてありがとう。
でもどうしてかな、
彼には恋人がいた。
社内恋愛。
綺麗な人だった。
ショックは少しだけ。
だって彼は私が気になってる。
私を気にしてる。
私があげられるものがある。
彼はきっとそれが好きになる。
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