えっ?もふもふなのにスライムなの?!~可愛いスライムと行く異世界旅~

猫野 伽羅

プロローグ

 森の中に一人の少女が倒れている。


「ここ、どこ?」


 えっと……私の名前は…はる。年齢は23歳、会社員。趣味は料理と手芸。うん、苗字以外はちゃんと覚えてる。なんで苗字は思い出せないんだろう。


 さっきまで家にいたはずなのに、なんでこんな森の中に寝ていたのだろうか。会社から帰ってお家について、その後どうしたかな。

 玄関を開けた所までは記憶はあるけれど、その先は……?


「あっ! そうだ、私…神様に会ったんだった」



 玄関を開けたらなぜかテーブルとイスが置いてあるだけの白い部屋にいた。キョロキョロ見回していると、いつの間にか目の前に人がいた。


『どうぞ、座ってください。お茶をどうぞ、お菓子もありますよ』


 突然テーブルの上にお茶と焼き菓子が現れた。しかも物凄く美味しそうな紅茶と焼き菓子だ。

 私は紅茶が大好きで、いつも家に帰ると大好きな紅茶とお菓子を食べてほっこりするのが、一日の締めなのだ。テーブルにあるのは私が知らない焼き菓子でかなり気になる。



「あ、ありがとうございます。ここはどこ? あなたは誰ですか?」



『私は貴方のいた世界を作った創造神です。ここは神界、神々のいる場所です。実は……私が管理するもう一つの世界が破滅の危機にありまして、貴方にはそこに行って頂きたいのです』


「破滅の危機なのは分かりましたが…なぜ、私?」


『もう一つの世界を救える波長の方を探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。長い年月をかけて見つけたのが貴方です』


 そう言われてしまうとなんとも言い難い。しかし…私が行っただけで救えるのだろうか。


「私は行って何をすれば良いのですか? 私に何か出来るとは思えないのですが…」


『大丈夫です。貴方があちらの世界に行く事が重要で、それだけで世界は救われます』



(うぅ…そんな事言われたら断れない。行くしかない…よね)



「そうだ、私は元の世界でどうなっているのですか? 帰ろうと思ったら帰れるのですか?」



『いえ、地球での貴方は突発性の心臓発作で倒れて亡くなっています。なので、残念ですが……もう帰ることは出来ません』


 ……まさか死んでいるとは思わなかったわ。それなら新しい世界に行くのもいいかもしれない。


「そう…なのですね。教えて頂いてありがとうございます」


『お茶のお代わりはいかがですか? 時間はありますからゆっくりしてくださいね』


「ありがとうございます」



 神様は私が落ち着くまでゆっくりと待っていてくれた。

 ゆっくりお茶を頂いて、心を落ち着ける事ができた。焼き菓子も、今まで食べた中で一番美味しかった! さすが神様です。



 それから色々な話を聞いた。あちらの世界の名前はミルフィーアと言うらしい。

 ミルフィーアは中世ヨーロッパのような世界で、魔法もあるし、魔物もいるのだって。ゲームとかお話の中の世界みたいでちょっとドキドキした。

 でも現代っ子の私が、そんな所で暮らして行けるのだろうか。


「ミルフィーアに行ってみたいと思います。でも私が行って生活していけるか、ちょっと心配ですが……。それと、あちらに行って何かして欲しい事とかあるのですか?」



『ありがとうございます! これで、ミルフィーアも救われます。特に何をして欲しいと言うのはありません。貴方がミルフィーアへ行く事が重要なので、向こうでは好きに生きて頂いて構いません』


「そうなのですね」


『ミルフィーアは魔法が使える世界なので、魔法も使えるようにしますから大丈夫ですよ。後はせっかくなので何かやってみたい事はありますか?』



 やってみたいこと……魔法は使ってみたい、後は家族がいなかったから家族が欲しいな。後は何だろう……あっ、作るの好きだしポーションとか色々作ってみたいよね、楽しそう。

 うん、やりたい事を考えていたら楽しくなってきた。



「えーっと、魔法が使ってみたいです。後、テイムしてみたいです。天涯孤独だったので、家族が欲しいなと思って。後、色々な物も作ってみたいです、ポーションとか」


(うーん、欲張りすぎかな?)


「あ、あのっ、どれかだけでも全然大丈夫です!」


『ふふっ、大丈夫ですよ。魔法は生活魔法で基本的な事が出来ますが、魔物に遭遇しても大丈夫なように、色々な魔法を使えるようにしておきましょうね。それとテイムと製薬も出来るようにしておきましょう。ミルフィーアについたら、ステータスで確認してくださいね。転生した場所には安全の為、結界を張っておきますから安心してくださいね』



「そういえば、地球では死んでますけど、このままの容姿で行くのですか?」


『いえ、魔力の事などあるので、新しい身体に転生して貰うつもりです。容姿の希望はありますか?』


「いえ、十分お世話になっているので、ミルフィーアでおかしくない容姿なら何でも良いです。神様にお任せします」



「しかし、魔法の事など全部叶えて貰ってしまって良いのですか? なんだか申し訳ないです」


『こちらの都合でお願いしているのですから、気にしなくて良いのですよ。ミルフィーアでの生活を楽しんで下さいね』


「ありがとうございます、とっても楽しみです!」



『本当にありがとうございます。では、そろそろ送りますね。ミルフィーアの世界を楽しんでくださいね』


「はい、よろしくお願いします。おいしいお茶とお菓子も、ありがとうございました。頑張ります」




 ~その後の創造神~


「ハルは可愛いですから、悪い人に目を付けられたりしないように、幸運を最大値にしておきましょう」


 幸運が高ければお金にも困らなくなるでしょうし。身体は12歳くらいにしておきましょうか。髪の色は私と同じ銀髪にして、顔はハルさんをベースに更に可愛くしておきましょう。


「後は…スキルですね」


 この世界は意志の力で魔法が使えるから、全属性魔法にして、鑑定は地球の食材が分かるようにしておきましょう。

 アイテムボックスは、容量無制限にして時間停止。後は錬金スキルを使えるようにして……。


 錬金も何でも作れるようにしておきましょう。ハルさんが思うように作れるようにしておけば……きっと彼女の事です、悪い事には使わないでしょう。

 後はテイムですね。可愛い家族が出来るといいですね。


 ふぅ、こんな所ですかね。


「あっ、忘れてました。アイテムボックスにお金を入れておかないと。後、結界が必要ですね。怪我したり死んでしまったら困りますから、シールドのスキルを付けないとでしたね。これで安心して送り出せますね」



 創造神はかなり過保護……というかハルに甘々だった。

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