第165話 地球は僕らを受け入れてくれるのか
「てめぇ! この野郎!」
溶けて消えた戦士の仇とばかりに、残された4人のメンバーがサンドウオームを袋叩きにする。
彼らは逃げ惑うモンスターを引き裂き、焼き上げ、引きつぶした。
その姿は人間というよりもモンスターだった。
まるでもがき苦しむサンドウオームの様子を楽しんでいるかのようだった。
そんな彼らの背後から土煙を上げて、数十体のサンドウオームが向かってくる。
仲間の危機を感知して駆け付けているのだ。
「お、おい! あれ!」
武闘家の青年が気付いた時にはもう遅かった。
「げふ!」
「ぐぴゃ!」
「ぶっぴ!」
仲間達は次々サンドウオームから吐き出される粘液の餌食になっていた。
最後に残った武闘家の青年は15体のサンドウオームに囲まれていた。
「すまん!」
土下座した額にザラザラした砂の感触が伝わる。
それが最後に彼が感じたこの世界での感触だった。
◇
5機のドローンは煙を出しながら、墜落して行った。
兵士達は地面に激突しひしゃげたドローンを拾い上げた。
銃器を取り上げ、中央に埋め込まれたCPUやメモリが搭載された小型コンピュータを特殊な機械で抜き取った。
◇
魔界プロジェクトの電子的な世界と、現実の
◇
山羊の段のボスモンスターは、タキシードを着た人間の身体に山羊の頭という姿だった。
倒すのに多少苦労はした。
が、
「リンネ」
「うん」
アスミに声を掛けられる。
私は思ったことを口にする。
「これで
「そうだ」
私達がモンスターを倒すことで、命が消えていく。
それは私達が魔王を倒し、戻ろうとしている世界に住む人間の世界だった。
「魔王を倒す、つまりゲームをクリアしたら戦争に勝利するということか?」
私の問いにアスミは無言で頷いた。
「魔王とは
「A国の王」
日本の敵国であるA国を統べる者。
魔王はその人物と紐づけられている。
◇
「僕達は
ネスコの言葉に僕は酷くショックを受けた。
転生を夢見て戦って来た。
その生まれ変わる先の世界に住む住人達を僕は殺して来た。
「僕達はただ利用されていただけなんだね……。無料のオモチャで釣られ、沢山の人間達がゲームを遊んでると思わされながら、実際は人を殺していた」
「ユウタ。それが真実だ」
「そりゃ、誰も実際に戦いたくなんてないよね。日本も良く考えたもんんだよ。徴兵するよりも面白いゲームで遊ばせた方が人も集まるし、モンスターを倒しても罪の意識は無い」
「そして、お前はそれでも戦わなくてはならない」
ネスコの肉球が優しく僕の肩を叩いた。
つづく
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