第134話 ゲームの終わりに向かって
今まで定期的に神によって行われて来た
その度に、新しいアイテム、モンスター、狩り場、スキル、魔法、クエストなどが追加され、既存のそれらは更新された。
先程の会議にて、姫はこう言った。
「次回の
……だと。
「これがどういう意味か分かるか?」
私は遠くを見つめるマリアンに問い掛けた。
彼女も途方に暮れているのだろうか。
「……分かっているさ。この世界の発展が止まるということだろう」
「うん」
「ロゼ、お前の生産活動もつまらないものになるな」
既存のそれらが更新されることもない。
「未知の素材から未知のアイテムを作り、それを売りさばく。それが私のこの世界での生きがいだったのだが……」
私は内心、頭を抱えている。
マリアンにしたら、新しいモンスターを倒す楽しみがなくなるということだ。
「それ以外にも色々と問題があるぞ」
マリアンが神妙な面持ちで語る。
「バグについても、だ。この世界で何かバグがあったとしてもそれが修正されることは無い。転移扉による転移中に時空の狭間に入り込んだまま戻れなくなるバグは解消されることは無いし、これから発生するであろうバグも解消されることは無いだろう」
「なるほど、つまり……」
「我々は、神から放置されたということだ」
この世界にはバグという名のおかしな現象が多数ある。
数えればきりがないが……
例えば、
倒したモンスターがアイテムをドロップしないことがある。
盗賊に渡したアイテムが消える。
大陸のある地点に行くと、地底に落下する。
クエスト『三頭竜の嘆き』をソロでクリアすると、変な音楽が鳴り、もらえる報酬が減る。
「突然、特定のスキルが使えなくなることがあるのもバグだろう」
「マリアン……」
「これは私の祖父が言っていたんだが、神というのは
私も祖父からそれらしい話を聴いたことがある。
マリアンや私の祖父は、
つまり、肉体を
彼らと私達、子世代と大きな違いはそこにある。
「運営が魔界プロジェクトの運営を放棄したということだろう」
マリアンが達観した様に言う。
それは何故だろうか?
私は考えた。
「価値がなくなったからか」
商人の視点で考えた結果を述べた。
だが、マリアンは違う視点を持っていた。
「違う。恐らく、この世界、つまりゲームをすぐクリアしろ、ということだろう」
つづく
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