第129話 攻略に向けて、それぞれのプレイヤーが動き出す!
僕とマリアンはフレンドリストにお互いを登録し合った。
だが、ガイアもリンネも登録を拒否した。
そして、フィナは直接会って話せば問題ないと、拒否というよりも彼女なりのマイルールに従い登録しなかった。
結局、僕しか彼女を登録しなかった。
<5大ギルドマスターの皆さん、そしてユウタ>
突然、姫からの通信。
「はい」
僕は返事をした。
<お疲れ様です>
「はい」
<そして、リンネ>
リンネは頷いた。
<
「それ、おめでたいことなのか?」
リンネは無表情だった。
「姫、何でしょうか?」
ガイアが問い掛ける。
<明日、ラストダンジョンの攻略についての会議を開きます。出席して下さい>
双子の段が攻略されたことが姫にも伝わったのだろう。
これから先のことについて、一度、有力者を集め意見交換するつもりなのだろう。
「じゃ、また明日」
姫からの通信が終わるとマリアンは 自らボロボロにしたギルドホールを後にしようとした。
「マリアン」
ガイアが呼び止める。
「あ?」
「人のギルドホールをこんなにしておいて……謝りなさい」
ガイアは詰め寄った。
マリアンは不服そうにこう言った。
「分かったよ。後で金を送るからそれで何とかしてくれ」
「待ちなさい! 私はあなたを許したわけではない」
ガイアは大祖先こと、自らの祖父、今は躯となったレゴラスを見やった。
「その爺さんからケンカを売って来たんだ。それを買ったまでだ。お互い様だろ?」
「もともとあなたがたが、ここに攻めて来たのが原因です。蘇生魔法が使える治癒魔法使いを連れて来なさい!」
「我がギルドには、レベル90の治癒魔法使いはいない。そんなに爺さんが大事なら孫のお前が蘇生魔法を使って生き返らせろ。それか、自分の命を捨ててまで他人を救いたいもの好きを探してくるんだな」
マリアンは口の端に嘲笑を浮かべ、踵を返した。
この世界の蘇生魔法は、自らの命を犠牲とする。
ガイアがレゴラスを生き返らせるには、自らの命を差し出す必要がある。
「くっ……」
「躊躇してるってことは、自分の命が惜しいってことだ」
マリアンは高笑いをしながら外へ向かう。
「待て」
凛とした声が響く。
リンネだ。
「兄者を何とかしろ」
彼女はタイチを小さな顎で示す。
「おい、やれ」
マリアンに指示され、妖術師は麻痺を解く魔法を唱えた。
「お、おお……」
タイチはゆっくりと立ち上がった。
「そいつは、もう用済みだ」
そう言い残し、ギルドホールを後にした。
◇
「兄者……」
「やめろ」
虚しく私の手は振り払われた。
無理も無い。
私は兄者捨てた。
そのことが彼の心に引っ掛かっているのだろう。
「リンネ、俺とお前はもう兄妹じゃない」
タイチは去って行った。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます