ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第65話 美少女暗殺者の誓い ー私はお前のために復讐し、戦って、死ぬー
第65話 美少女暗殺者の誓い ー私はお前のために復讐し、戦って、死ぬー
「救世主……」
私はユウタの言葉を繰り返した。
ガイアも自分のことを救世主だと名乗っていた。
この世には一体何人の救世主がいるのか。
どれが本物なのか分からない。
だが、私はユウタが何者であろうと構わない。
「リンネ、君はどうやってここに来たんだ?」
もっともな質問だ。
「B.B.B倶楽部が見つけた狩り場に興味があった。調べる内に、辺境近くにあることを知った。転移扉を見つけここまで来た。そこでユウタ達がB.B.B倶楽部に襲われているのを見つけた」
一部本当で、一部嘘だ。
ユウタを追って来たことは伏せておいた。
この上、重い女と思われるのは辛い。
「偶然だった訳だな」
ユウタが私の目を見てそう言った。
偶然じゃない必然だ。
お前を求めてここまで来た。
そう言いたかった。
だが、彼に寄り添うフィナを見ると、今、それを口にしても彼を困らせるだけだと思った。
「私としてはB.B.B倶楽部のメンバーを殺すことが出来て良かった」
「何故?」
「B.B.B倶楽部の親ギルドはDEATHだ。DEATHは鉄騎同盟にダメージを与えた。私はDEATH関連のギルド全てに復讐するつもりだ」
ユウタは私の言葉を受けて、悲しそうな顔をした。
「リンネ、僕は救世主として話すが、人間や亜人間は一つになって魔王を倒さなければならない」
「復讐をやめろということか?」
ユウタ、お前のための復讐なんだ。
私にとっては魔王を倒すよりも重要だ。
「……ユウタ、魔王を倒すということは、つまり、どうなるか分かってるか?」
「この世界が平和になるんだよね」
「違う。この世界は終わるんだ。そして、元の世界に戻る。つまりゲームクリアだ。そして、お前とフィナは離れることになる」
「え?」
ユウタの目が丸くなる。
隣でフィナが彼の腕を掴む。
ガイアの話を知らない彼が、私の言っている意味が分からないのは仕方がない。
「ユウタ」
「何?」
「今すぐ、ここから逃げろ」
「え?」
ユウタの顔が不安でいっぱいになる。
「敵だ。かなり強力なのが来る」
私の索敵スキルは、半径10メートル以内のモンスターを探知する。
「リンネ、僕は一緒に戦う!」
「だめだ。今の私達が束になっても勝てない。私が引き留めるからお前達は逃げろ!」
私は洞穴の外に飛び出した。
ユウタが逃げ切るまで、耐え抜く。
◇
私は森の木をなぎ倒しながら向かってくるゲリュオンの前に立った。
一つの胴体に3つの上半身を持つ異形のモンスター。
阿修羅のごとく、盾と得物を手にした6本の腕を持っている。
体長3メートルの身体はプレートメイルで包まれている。
細い目にまっすぐな口。
同じ顔が3つ並び、6つの目が私を見据えた。
レベル85のモンスター。
こんな強敵が、この狩り場に潜んでいたとは。
つづく
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