ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第46話 転移扉が壊されて、辺境に人間が襲来し亜人間の平和が奪われる日
第46話 転移扉が壊されて、辺境に人間が襲来し亜人間の平和が奪われる日
「フィナ。ありがとう」
「うん」
僕は何とか気持ちを立て直した。
どんな理不尽な目に合ったとしても、この世界で生きて行くしかないからだ。
ならば、酷い目に合う度に、それを越えていくだけだ。
君のお陰で、僕は強くなれたよ。
「ユウタ。手に入れた素材を見せてくれ」
「うん」
僕とフィナは、ポシェットからそれらを取り出し、地面に置いた。
「おお! 銀スライムの欠片か! 何ともレアなものを手に入れたな」
ネスコがそれらを手に取り値踏みする。
「よいアイテムが作れそうだ」
グリフォンの背に乗り、狩り場を後にし辺境へ向かう。
◇
僕とフィナは手に入れた素材を、ネスコに渡すことにした。
ネスコはそれを鍛冶屋のユメルとテルミンに渡す。
良い武器を作ってもらい、それを守護者を降ろすために使用する。
だが、そこには一つ問題があった。
「知っての通り、結婚しなければ持ち物を共有出来ない。だから、ユウタと私は持ち物を交換出来ない」
「そうだね」
「だが、間接的に持ち物と金をやり取りする方法はある」
例えば、僕が道具屋に一旦、素材やアイテムを売る。
それを、後でネスコが買い取る。
だが、それだとネスコがお金を持っていないと交換が出来ない。
「そこで、盗賊職の登場だ」
盗賊の少女ジュリを紹介された。
彼女は背中に羽を持つ、
背が小さく、すばしっこそうだ。
赤いショートカットに、ソバカスだらけの顔が子供らしくて可愛らしい。
「あたしに一旦、盗ませてくれればいいよ」
彼女は盗賊職だけが持つスキル『盗む』を発動し、僕の持つ素材を盗んだ。
と同時に、フィナのも盗む。
「あっ! 盗るな!」
じゃれる様に、フィナがジュリを追い回す。
ジュリは受け取った素材を盗賊だけが持つスキル『渡す』を発動し、ネスコに渡した。
「つまり、盗賊を間に置くと、モノのやり取りが出来る。連れて行っても大した戦力にはならないが、こういう時、役に立つ」
「なんだとぉ!?」
今度はジュリとネスコがじゃれる。
亜人間同士は仲がいいみたいだ。
「じゃ、明日、行ってくる」
外はもう真っ暗だ。
夜はモンスターも強力になるから、休んだ方がいい。
「フィナ、晩ご飯作ってあげる!」
「僕が作るよ」
黒焦げのピラニアを食べるとか、もうゴメンだ。
そういえば……
「ネスコ。狩り場のことなんだけど」
「何だ?」
「僕の他に人間がいたみたいなんだ」
「人間が……」
「遠目だったから……小さくしか見えなかったけど。あれは人間だと思う。僕たちと同じように狩り場でモンスターを狩っているように見えた」
「それは本当なのか?」
ネスコの表情が固くなる。
「ユウタ。さっきの話を変更する。私は今からユメルのところに行く!」
「え!? 急に」
「お前の話が本当なら、ユメルのところにある転移扉が人間にバレた可能性が高い」
辺境と人間の街を行き来するための、亜人間の作った転移扉。
ユメルの武器工房の地下にある。
カムフラージュを見破られ突破されてしまった。
それは辺境が危険にさらされることを意味していた。
つづく
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