ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第35話 ガチャで欲しいキャラが手に入らないからって、リセマラしまくるのはやめよう! サーバに負荷が掛かるぞ!
第35話 ガチャで欲しいキャラが手に入らないからって、リセマラしまくるのはやめよう! サーバに負荷が掛かるぞ!
鉄の鎧を着た戦士、アカヅキはガシャガシャ音を立てながら僕の方に近づいて来た。
彼の横に文字が浮かび上がる。
彼のステータス、スキル、装備……。
これらの情報で、彼を守護者として選ぶか判断しろということか。
「何だ? 救世主がどんな奴かと思って召喚されてみたら、このチビがそうか?」
僕を指差しながら、バカにしたように口角を上げる。
僕は不安になる。
「ネスコ……」
「ふむ」
眉根を寄せた僕の顔が、ネスコの瞳に映り込んでいる。
「ユウタ。お前の意思で選べ」
ネスコが僕に決意を促した。
「チェンジで!」
僕はアカヅキにそう宣言した。
「おっ! てめぇ! 勝手に召喚しといて何様だ!」
アカヅキが僕を罵倒し、つかみ掛かろうとする。
「おわっ! 何だ! 動けねぇ!」
だが、彼は光に包まれ消えて行く。
僕は白くなる彼を見ながら、ごめんと何度も謝った。
だけど、心の中では、この人を選ばなくて良かったと思っていた。
後には何も残っていない。
アカヅキはレベル80だった。
ステータスは目を見張るものがあった。
彼が盾役になれば、魔王討伐も現実のものとなっただろう。
だけど、僕は彼を選ばなかった。
僕を見下す目が嫌だったからだ。
救世主のくせに感情を優先してしまった。
これは正しいことなのか。
僕は答えを出せない。
「わー! 消えたー! 良かったねー! ユウタ!」
フィナが僕の手を取って喜んでいる。
彼女も僕と同じ様にアカヅキが嫌だったんだろう。
気が合ったことが嬉しかった。
そして、僕は自分が正しかったと思った。
「ユウタ。アイテムも無くなったことだし、今日はここまでだ」
捧げた火竜の剣も消えていた。
◇
フィナの家に戻った。
「ごめん」
僕は頭を下げた。
「気にするな」
「そうだよ。ユウタが好きな人を選べばいいんだからね」
ネスコとフィナが僕を慰める。
消えたアカヅキは、その後どうなっているのだろうか。
「心配するな。召喚された者は、元居た場所に戻されている」
「そうなんだ……」
「救世主に守護者候補として召喚されたという記憶は消されているから、仕返しも心配しなくていい」
僕の不安を、ネスコが的確に埋めてくれる。
「ユウタ。お前に一つ言っておく」
「はい」
「守護者候補として召喚された者は、時空を越えて祠に呼ばれる。守護者降ろしは、時間と空間を歪める荒業だ。何度も繰り返す類のものではない」
ネスコが語気を強める。
「だけど、僕と一緒に戦う気がある人じゃなければ……」
「好き嫌いで人を選ぶ……それがお前のやり方なら私は止めはせぬ。だが、私はお前の標とならなければならない。だから、言うことは言っておく」
ネスコの糸目が光った。
彼曰く、
この世界にいる全ての人間は守護者となりえる。
強い者、自らが望む者を守護者にしたければ、それ相応のアイテムやクエストを攻略する必要がある。
「守護者を選り好みしていると時間が過ぎて行く。魔王を倒す前にお前の寿命が来てしまう。そして何より……」
守護者降ろしは、この世界にとって、とても『負荷』が掛かる。
何度も繰り返すと、場合によっては世界自体が
つづく
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