第8話 おのこ と めのこ

その昔、おとこは 北の果てに生まれる

その昔、おんなは 南の果てに生まれる


その昔、おとこは

裸馬のたてがみを掴み 疾風の如くに走った

その昔、おんなは

慣れぬ自転車のハンドルを握りしめ  走った


その昔、沖に浮かぶ舟より 

泳いで帰れ!と

海に投げ込まれた おんな


その昔、沖に流れた舟を 

必死の思いで追いかけて

大波にもまれた おとこ


海の水の流れは いつか、溶け合う


前世よりの 縁は深く

太古よりの 流れは強し


------

(独り言)

北海道出身の女の子と知り合い、私自身が九州の出身ということもあり、「南と北だね」という彼女の言葉で、この詩をプレゼントしました。

コロコロとよく笑う子で、喜んでくれました。

と思っていたのですが、わたしより五つか六つ下(未成年)の子でしたが――大人びた子でして、タジタジでしたよ――「お子ちゃまね」と感じたようです。

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