第15話 Oh God!

私はこれまで 十七年間というもの

(あなたにとっては 短い時でありましょうが)

あなたを毛ほどにも 恨めしく思ったことはありません


が 今日という今日は どうしても恨みに思わずには

いられないのです


とぼけないでください!

この間のハガキといい この手紙といい 一体あなたは……

ぼくを どうしたいのですか?



あ丶 神よ!


私は決して 他人を恨みに思い続けたことはありません

ええ これまで一度だって……

全て 己の不徳の為と 己を責め続けてきました


しかし今回の仕打ちは あんまりです……


あなたの愛を 期待してはいけないのですか?

あなたの愛を 欲してはいけないのですか?


アダムとイヴは 禁断の実を食したが為に……

あなたに 見捨てられた? …… 


そして、今、

楽園を追放されるのでしょうか このぼくも



あ丶 ジュリエット!


どうして私は この現代に生まれ出てしまったのか……

中世の貴族社会に生まれたからこそ

私はあれ程に 燃えたのだ


今の世では 軽佻浮薄のこの世では

何であれ程に 燃えられようか



あ丶 ジュリエット!


何か 答えておくれ 示しておくれ

------

(独り言)

なんのことだか、まるでお分かりにならないと思いますがね、実はこの当時、文通をしていたのです。

瞬時に届き合うラインとは違い、手紙です。

時間差が、大きなタイムラグが、あるのです。

ちょっとした誤解でもあれば、それはもう大変なことです。

誤解を解くためには、最低でも三日いや四日はいるかな? 

その間、どれほどにいらつくことか。

電話? 携帯電話はもちろんありませんよ。

公衆電話からかけたとしても、当人が始めに出ることは、まずありません。

電話の先は、父親です。せいぜいが、母親です(滅多にありませんが)。

第一、一人暮らしをしていた私には、電話なんぞ持てるはずもありませんしね。

とにかく、大変な事態に陥ってしまうわけです。

そんな折の心情です。

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