第182話

心配な教科が返される授業ほど憂鬱なものはない。

俺はこの時間の教科が一番怖い。

名前の順、俺は10番だからすぐに返ってくる、何よりもいらないテストが。

赤点だったら絶望、赤点を超えていてもその点数の低さに落胆。

勉強だってしたのにこの出来は酷すぎるって自己嫌悪。

こんなテストが返ってきたところで何一つとしていいことがない……。

「じゃあ早速だけどまずはテスト返していくからなー」

担当の先生の地獄へ落とす声が聞こえる。


1番から返され始めて、クラス中がうるさくなる。

それでも俺の耳に確かに届く俺の心臓の音。

はち切れそうなくらい音を立てている。

「大通〜」

「はい……」

運命の瞬間が来た。

今回のテスト、平均点は65点。

そこそこ高いらしいけど……そんなことはどうでもよくて赤点ラインは半分の32点以下。


33点。


赤点回避なのか、もはや奇跡と言っても過言じゃないレベルの回避の仕方……。

安心と、がっかり、とかなんかいろんな感情が混ざり合って泣きそう。

目があつい。


ともかく、このテスト乗り切れたのならば他のテストは何とかなる!!

その自信しかないから部活に専念できる。

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