掌編小説・『ふたご』

夢美瑠瑠

掌編小説・『ふたご』


掌編小説・『ふたご』



 私達はふた〇です。

 私は女で、兄は男。

 じゃあ二卵性?

 いえいえ、一卵性です。

 突然変異かって?うーん、そうかもしれない。

 私は髪を伸ばしたいんだけど、兄が許しません。

「兄ちゃんの言うことを聞け」といって、 無理矢理に断髪にされるんです。

 食べるものでも、私はお肉が好きなんだけど、兄は魚が好きで、魚ばっかり食べさせるんです。

 横暴な兄?

 うーん、でもしょうがないなあって部分もあるんです。

 もう年頃だから兄とも断絶したいくらいなんだけど、束縛されて、言い争いになると、兄の方が気が強いから、私は無理やり気絶させられたりするんです。

 私達はそれぞれを、違う呼び名で呼んでいて、私はミカゲ。兄はハルト。

 でも、親はまとめて「アキヒロ」と呼びます。

 ずぼらな親だって?

 いいえ、そうじゃないんです。

 私は当然男性とセックスするし、兄は女性とセックスします。

 だけど、私は兄がそばにいないと、セックスできないし、兄もそうなんです。

 精神的な絆が強いのかって?

 そうじゃないんです。私と兄は人格が違って、仲だってよくない。

 兄が眠るとホッとするし、兄も私が眠ると肩の荷が降りるみたい・・・

 わたしたちは最初に言ったように「ふた〇」・・・

 でも、「ふたご」じゃないんですよ。

 シャム双生児でもないんですよ。


 じゃあ、なんだ?

 まだ分からない?

 うふふ。私達は「ふたなり」なんです。半陰陽と書きますね。

 男女両方の性器を持っていて・・・

 しかも私たちは二重人格で、私は女性、兄は男性。

 男女両方ともセックスできるけど、身体はひとつなんです・・・


 最初のところで謎が分かったあなたは天才かも!

 最後まで分からなかったあなたは相当勘が鈍いかもですね・・・


<了>

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掌編小説・『ふたご』 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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