最強の傭兵団に入団を拒否られたので自分で傭兵団を作ったら殺人狂の超絶美人とか変な奴ばかり入団してきて手に負えない
渡 歩駆
第1話 傭兵団のやばい仲間たち
「うおーっ! 殺していい人間がいっぱいるぅ! 殺っちゃお! 早く殺っちゃお! 殺ろーっ!」
「待て待て! 勝手に動くなこのサイコ女!」
あーもーっ! あの女ぁ!
傭兵団の仕事で盗賊退治に来たんだが、盗賊を見た途端に仲間の金髪女が喜悦の声を叫んで剣を抜いて走り出しやがった。考えていた作戦が台無しだよチクショウ。
しかし女は強い。
十数人はいる盗賊をゲラゲラ笑いながらばったばった斬り殺していく。あの狂った笑いがなければ単純に賞賛できる強さだ。
「あひゃひゃひゃひゃひゃ! あーイキそ! もうイク! ほんとイッちゃうからぁ! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
うーむ怖い。あれは人間じゃなくて妖怪なのかもしれん。
おっとそんなことより、いくらあいつが強いからと言って、仲間をひとり戦わせておくわけにはいくまい。
「しかたない、俺達も行くぞ」
他の仲間に声をかける。
「はあはあ……ふっ、こんな程度の敵など拙者が動くまでもないでござる」
「疲れて動けなくなっただけだろ」
ここに来るまでで疲れきるとかなにしに来たんだこのクソデブ。
「あ、いま拙者のことこの役立たずのクソデブとか思ったでござるな。そんなことを思っていいでござるか? 拙者、キレるとなにするかわからないってママンから恐れられていた男でござるぞ。拙者が怒れば壁に穴があき、勢いよくテーブルをひっくり返し……」
「はいはいごめんごめん。君はそこで待機してればいいよ」
「ふふふ、それが賢明でござる。拙者、キレると容赦ないでござるから、ぜえ……」
なんでこんなマザコンデブを団員にしてしまったんだ。はあ……。
「……あれ? あいつはどこに行ったんだ?」
姿が見えなくなった団員のひとりを捜す。と、
「こんなところで君のような美しい女性に出会えるなんて感激だ。戦いなんてつまらないことはやめて、俺様と一緒に綺麗な花畑でも見に行かないかい?」
「えっ? で、でも……」
「ふっ、けど、美しい花も君を見たら自信を無くして枯れ果ててしまうかもしれないけどね」
岩陰で盗賊の女をナンパしていた。
あいつはだめだ。ならば残ったもうひとりと共に……。
「わしはエッチがしたい。精気ほしい」
白髪の幼女が俺の服を引っ張る。
「そんなことより盗賊を退治するのが先だろう。精気は我慢しろ」
「いやだ。無理。いますぐ精気よこすのじゃ」
「いやだ。無理。頼むからあとにして」
あとずさる俺にサキュバスの幼女がじりじりと迫ってくる。
アジトのほうを見れば、妖怪も逃げ出すような不気味な笑顔で盗賊を殺しまくる金髪の女。そんな怪奇現象みたいな光景から目線を近くに持ってくれば、寝転がって皮袋の水を飲むデブ。少し離せば敵の女をナンパするノッポ。そして俺は幼女サキュバスに追われて森を逃げ回る。
俺が傭兵団を作ってからどれほどの日にちが経ったか。まさかこんなクセの強い連中ばかりが団員になるとは思っていなかった。
まとな奴はひとりもいない。やべー奴しかいない傭兵団だ。
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