第9話、其のメイド…天狗と遭遇する

 -ど、どうしたというのだ


 -何が起こったんだ


 -なんだ、あの場違いな侍と茶店は!


 -わかりませんが突然世界が改編されました


 -まさか、人間の意志によって…


 -過去に、このような事例はあるのか


 -少しですがあります

   地球世界で2000年ほど前に、海を割った老人がいます


 -あの女性が、それほどの存在だというのか


 -今回の事象は、どうやら根本的な改編ではなく上辺だけと思われます


 -似たような事象が起こる予定だったというわけか




カタゴトガタゴト

少し進むと、わきの草むらに男の人が数人倒れています。

血の匂いがプーンと鼻をつきます。

関わりたくないので、足早に行きすぎようとしたら、まだ息があったようで…


「そ、そのガキは…勇者か…」


「いえ、大五郎です」


「そ、そうか…」


どうやらこと切れたようです。

迷惑をかけたのは、こっちの方だったみたいですね。



カタゴトガタゴト


なんとか、目的のお寺につきました。


「ごめんください」


「はーい」


小坊主さんが出てきました。


「こちらの先生を紹介されまして、これ紹介状です」


「少しお待ちください」


小坊主さんは一旦奥に引っ込んで、今度は大きな男の人が出てきました。

顔には天狗の面をかぶっています。


「マルコとその連れだな、イソラ…いや、アマンダから連絡は受けている。上がれ」


「お邪魔します」


本堂の横を通って、長い廊下を奥に向かいます。

天狗の先生は、身長2mくらいで茶色の髪をしており、筋骨隆々のいでたちです。


先ほどの小坊主さんが、後ろからついてきます。

奥の部屋は畳敷きでした。

こんなもの作る人がいるのかしらん。

でも、井草の香りがプーンと漂ってきます、


「アマンダの話では、魔物に襲われた時の恐怖がトラウマになっているとか。

わしの修業は厳しいぞ」


「それは伺っておりますが、この子には魔王を倒してもらわねばなりません」


「それも承知しておる。

そうじゃな、三か月。

この坊主と二人、山頂のお堂で鍛錬してくるゆえ、お前は寺を手伝いながら鍛錬しておるがよい」


「わかりました。よろしくお願いいたします」



三か月の間、私はお寺の本堂を掃除し、食事こしらえ、竹やぶで鍛錬に励みました。

そして、三か月後、帰ってきたルイージ様は灰色の目をしていました。


何があったの…

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