第8話2ヶ月

「ねぇ、エッチしない?」


恋人同士になって優香里は翼を良く誘ってくるようになった。


「怖い?」


「そりゃあ、した事ないから怖いよ。」


「しないなら別れる。」


「分かったよ。」


「でも…。」


その後の話は覚えていない。



優香里の両親が不在の時に家でしようと言われた。


ベッドで優香里は翼を待っている。


翼は、


知らないはずなのにしっくりくる。


「もっと強く抱きしめて…。」


泣くような小さな声で優香里は言った。


「ねぇ、した事あるんじゃない?」


優香里に聞かれた。


「無いよ。」


不思議と体が動いた。


ベッドの中で抱き合った。


「やっぱりわたしには翼だな。」


「俺も同じだよ。」


「どこに、転校するの?」


「海外だよ。」


2人は、ベッドの中で話した。


「海外か…。お父さんの仕事?」


少し優香里は考えて


「そうだよ。」


と答えた。


「遠いね。」


高校生の翼には優香里を繋ぎ止める力はなかった。


「翼、わたしを忘れてね。」


「何で?」


「だって…。翼の人生もあるし。」


「そっかあ、でも優香里を忘れるなんて出来ないよ。」


翼は、夢を見た。


優香里が自分とは違う男と楽しく歩いているのを。


優香里は、大人っぽくなった容姿をしていた。


優香里にはお似合いだった。


やっぱり俺じゃあ無理なのか?


目を覚ますと優香里が翼の腕にくっついて眠っていた。


翼は、優香里を抱きしめて寝顔を見つめてキスをした。


愛しいのに切ない。


優香里は、詳しい事は教えてくれなかった。


聞かれたくないという顔をされると翼も聞けなかった。

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