第5章 2013年 その5 風のアインシュタイン
「デジタル脳」
1. 風のごとスクリーンセーバの映し出す色の変転あやかしと見る
2. 万の色を視神経へて脳内へ認識せしむ何ぞゼロと一
3. 二進法に神経伝導伝わりて可能範囲に七色に舞ふ
4. そのわけは知らねどそうと知りてのち世の深層に心捕はる
5. 視神経の受け取る波長は光よりの屈折反射種々あるひとつ
6. シナプスの受ける刺激が電位の差起こせばイオン伝導可能なり
7. 軸索を行く電流のオンとオフ 前頭葉にて認識査定
8. 海馬保存されしひとつの組み合わせ「青色」と呼ぶ 一文化日本
9. 「あお」と聴く母の声音と指の先 繰り返さるる神経接続
「超マクロ」
10. その莫大 砂粒すべての数よりも銀河は多し離れ合ひつつ
11. 音の無き宇宙を飛びて来る光 脳は彼方も正しく見るや
12. 永劫のごとき遥けさ ハッブルやプランク捉ふるその色は真か
13. わが百年一四八億年の先っぽに ダークマターとダークエネジー知る
「超ミクロ」
14. この心身の空疎なること宜なるか原子ひとつはほぼ真空なり
15. たとふれば教会にいる蠅ひとつ原子核とせば電子は外に
16. 物質と反物質の生まれてはぶつかり消えてエナジー放つ
17. 無から無へ在り続ける間(ま) なにゆえか永劫の中不均衡残る
18. 熱されて量子飛躍あり 定まれる軌道をひょいと色エネジー発す
19. 雲の如き軌道の海に電子あり 光年老いずひた走るあり
20. エイチツーの成れる原理は何ならむ 二つの電子の軌道触れ合ふは
「物質生成」
21. 電磁波の自己組織化というものか次第に絡み合ふ元素たち
22. 育ちたる宇宙は元素表にある化学物質を生産したり
23. 星と山 草 動くもの脳髄も同じき元素の組み合わせなり
24. 電子舞ひて原子は流る 寄り合ひてこの身を成せりしばしの日数
「量子は別世界」
25. 光とは質量ゼロの電子なるや 干渉波実験に電子を飛ばす
26. 量子らの有り様不定 観察によりてのみ確定すペア量子しかり
27. スピンするペアの粒子は距離あるも双子のごとく心通わす
28. 絡み合ふ量子ふたつの特性を 神にも等しき計算機とせむ
29. ゼロと一の情報二つを共有し可能性すべて計算し尽くす
30. エンタングルメントする二量子に情報托しコピーを作る
31. 肉体と言へど原子の情報より成れるゆえ即空間移動も可
32. サイコロを神は振らずと片や言い 神を推測するはならじと片や
33. 絡み合ふ量子に遠隔操作あれば超光速信号あらねばならず
34. この証左にボーア量子論凌駕せり アインシュタインと神の全知を
「風のアインシュタイン」
35. 知見の差かくもありしか この銀河以外知らざりしとふアインシュタイン
36. 弦のごと振動止まざる粒子の相 聞こえぬ音か見えざる色か
37. 不確かなる電子の位置なれ わが次元確かと思ふ謎なる大雑把
38. 質量を与ふる粒子(ヒッグス)の存在は確かとなりて正しき途上
39. 水素二個の核融合を果たし得て西暦二千年星を生じさす
40. 原子核をぶつける装置 ビッグバンをブラックホールを生じさす意図
41. 天才の知恵と苦心の未だとほく解き尽くすなく大千世界
「遺伝子」
42. 遺伝子は細胞核に幾重にも折り畳まれて精緻の引き出し
43. 詳細を文明こぞりて追ひ求む 進化のひきがね突然変異
44. 美しき仕組み知るべし 細胞の機械のごとく全知のごとく
45. 肝胆と照る小望月サテライト(人工衛星) 大気の海の底を測りて
46. 宇宙への地球の渚薄けれど底方(そこひ)に群れてわれら儚し
「地球の自然」
47. みじか歌にけふの驚き発見を無理にも詰めたし自然のメカを
48. 陽は火なり 一億五千万キロの彼方より核融合の恵み小春日
49. 庭に来る日を待ちし姫踊り子草 ちりめんの葉の陰に紫
50. 紫は自然好みよ 青と赤自在に混ぜて濃きも薄きも
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