EPISODE48:「決戦」
相手を吹っ飛ばしてからグルグルと腕を回すカイ。そこへ狼達が駆け寄って来る。
「ご苦労様」
その言葉と同時に影に消える狼。マリカに付いていた狼も消えた。
「とりあえずここから出よう」
「……うん」
そのせいかどことなく顔が寂しそうな彼女。
そうして二人で廃工場をカイが開けた穴から外に出る。
「ところでさ、ここ……どこ?」
「し、知らないの?」
「転移して来たから」
「あ、そうか」
言われてみればその通り。【アリアドネ】の感知でわかったのは方角位。
「じゃあ帰りはどうする気だったの?」
「……手段はある」
悪友の
「それ安全なんだよね?」
「大丈夫。何度も使ってるから」
そう言って彼は【ミメーシス】の本体である剣の柄を出す。
「まあ、その前にやる事あるけどね」
そう言ってカイは視線を前に向ける。そこにマリカも向ける。そこにいたのは――巨大な人型。目測十メートル以上はあろうかという人型のロボット。こちらへと歩いて来る。
「な、何アレ……」
「多分……アイツが出したんだろうさ」
絶句するマリカ。それにカイは予想を言う。
「アレが奥の手か……」
そう言いながらカイは柄から刃を出す。それと同時に柄も伸長。彼が選択したのは巨大な剣。柄まで含めた長さはこちらも優に十メートルを超える。まるで壁のような剣で持つどころか引きずる事すら不可能そうな剣。それをカイは軽々と片手で持っていた。
「これ以上長引かせるのもアレなんでな……」
そして構えを取る。上段の構え。
「終わらせよう」
その言葉にロボットの動きが止まる。そして――
『一つ宜しいでしょうか』
男が声を掛けて来た。勿論それはロボットの中から。
「……何?」
『私の目的を貴方は知っていますか?』
「知らん」
『私の目的は……』
男は戦闘に色々使う。自身の体だけではなく、武器兵器、特殊なアイテム、口三味線etc……。何でも使う。
『クオン=マリカの盗むチカラを奪う為です』
これで揺さぶりをかけようとした。元にマリカは俯いている。
『これは貴方達の為でもあるのですよ』
だが――
『こんな盗人が近くにいるなんて気が休まらないd』
「うるさい、黙れ」
巨大剣が一閃。ロボットを正面から斬り伏せる。どうにか防ごうとしたロボットだがあっけなく潰し斬られる。
「何屁理屈こねてんだ。人に散々迷惑かけやがって」
『それはクオン=マリカn』
「そんな訳ねえだろう?全部テメエのせいだ。クオンは悪くない」
カイの言葉にマリカが顔を上げる。
「お前が奪おうとしなきゃこんな事は起こらなかった。それにお前頭良いんだろう?ならもっと良い手段あるだろう」
巨大剣を担ぎ直すカイ。
「それに――」
一拍置いて続ける。
「チカラに貴賤も正誤もない。そもそも何かを壊す誰を殺すモノで威張る馬鹿のどこが偉い?そんな奴は塵屑以下だ。大事なのは……」
思い出すのは
「そのチカラをどう振るうかだ」
「シンゲツくん……」
マリカの顔が明るくなる。そんな彼女の方を一瞬だけ振り向き笑うカイ。
「さて」
そして自己修復しつつあるロボットの方へ向き。
「終わらせるか」
空いている左手で挑発する。
「何か手段があるならやってこい。全て正面から叩き潰してやる」
その言葉に男は――
『……ええ。そうさせて貰いましょう』
元々あまり感情の起伏は少ない方。静かに攻めを選択。自身の手札を総動員してカイを殺しにかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます