婚約破棄する期間は、まだ締め切っていませんが!?

無乃海

クリスマスは貴方と共に

 メリークリスマス!…ということで、クリスマス・ネタを書きたくなりまして、今年も特別編を投稿することに、しました。クリスマスに関係ない内容も、出て来ますが…。過去のお話ですので、ちょっと説明が入ってしまいました…。


※此方の作品は、『婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!』の番外編を集めた特別編となります。今回はその第一弾です。この作品本編は、短期間ものの企画ですので、敢えて別タイトルにて、投稿することに致しました。此方の作品は本編となる物語を、先にお読みくださることを、お勧め致します。此方の番外を先に読まれますと、ネタバレとなりますので、ご注意くださいませ。

※本編の方にも、番外編や外伝が存在する予定ですが、こちらは本編の登場人物が一部しか登場しないなど、本編にはなくてもよい話となっています。




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 これはまだ、私達が高校生だった時のお話です。


私と麻衣沙は高校3年生であり、本来ならば受験生の学年でした。しかし、私達が通っております掘倉ほりくら学園は、内部生にとって大学受験は、特には必要ありません。ですから、内部生である私達には、受験はないのと同義なのです。但し、学園側にも、条件がいくつか存在致します。


● 成績が、あまりにも下がり過ぎないこと。

● 最低限の金額は、寄付をし続けること。

● 礼儀作法など、令息令嬢らしく振る舞うこと。

● 家柄の序列には、十分に配慮すること。


以上を守れない者には、堀倉学園の理事長から、退学のお達しが出てしまいますのよ。要するに、生徒は、転学を余儀なくされまして、特に家柄の序列で、上位の家柄の生徒に絡んだ生徒には、速攻で…退学の指示が出されてしまいますのよ。通常ならば転校先が決まるまで、猶予をもらえるのですけれども、この序列に関しては、全く待っていただけませんのよ。そのぐらい、学園側も家柄の序列を、重く見ておられるのでしょう。


家柄で申しますと、堀倉学園での樹さんの地位は、ヒエラルキーの頂点ですわね。その次には、私の親友・麻衣沙ですわ。彼女とは幼馴染で親友である私は、彼女の恩恵を受けており、私の家である藤野花家も、立木家と同等の扱いをされておりましてよ。我が家は、それほどではありませんけれど、まあ一応、堀倉学園では、上位の方には位置しておりますわ。岬さんも上位には入られておりますが、残念ながら…斎野宮家と立木家と比べますと、少々堕ちますかしら。それでも、我が家と同等くらいには、上位ではございますのよ。


簡潔に申しますと、私達4人に文句を言ったりされようものならば、直ぐに理事長のお耳に入られてしまいまして、速攻で…退学のご通知を受け取ることに、なりますわねえ。ですから、小学低学年の頃はまだそれが分からずに、ということもございますけれど、流石に高学年になってそれ以降は、私達に絡むような生徒は、滅多におられません。


但し、中等部でも高等部でも、外部生が入られる度に、実は…私達に絡んで来られる女子生徒さんも、無きにしもあらずでしたわね…。大体が、王子様のような樹さんと岬さのお姿に一目惚れをされて…という、パターンでしたかしら…。お2人はイケメンなご容姿だけではなく、何方どなたにでもご親切ですもの。彼らは…常日頃から、レディファーストを心掛けておられますのよ。


私達が高校3年生の時には、既に大学生になられておられた、樹さんと岬さんは。校舎が全く別の場所にありますので、平日はあまりお会いする機会も、ございませんでした。この1年間だけは完全に、私と麻衣沙は自由を、満喫致しましたわね。それでも…土日・祝日や、夏休み・冬休みの長期休暇などは、彼らからのご連絡が時折ありましたわね…。もう…放って置いてくださっても、良かったですのにね。何故だか、を果たそうと、されますのよ。


まあそういう訳でして、クリスマスも…そうなりましたわ。クリスマスくらいは、麻衣沙と2人だけでお買い物して、夕方頃から「クリスマスパーティをしましょうよ!」と事前に話し合って、決めておりましたのよ。何しろ、我が家も立木家も年末は忙しいので、子供達は放置された状態なのですわ…。…良いのです。両親はお忙しいだけで、私のことは溺愛してくれておりますもの。


 「やあ、ルル。今年も麻衣沙嬢と、クリスマスパーティをするんだね。ぜひ俺達も、参加させてもらえるかな?」


そう仰られたのは、私の婚約者である樹さんです。やはり、今年も参加されますのね?…まあ、仕方ありませんよね…。乙女ゲームのヒロインとは、来年の春に行われる、大学の入学式までは、お会い出来ませんものね。


そうなのです。あともう少しで、まで迫って参りましたのね。漸く…乙女ゲームが、始まるのですね…。前世を思い出してから、早10年以上となりましたわ。更に、乙女ゲームの世界だと気付きましてからも、早10年近く経っておりますわね…。などと…私は、感慨深い気持ちになっておりました。


 「クリスマスの前に買物に出掛けるんだってね?俺達も一緒に付き合うよ。…って。ルル、聞いてるのかい?」


…はっ!…私はまた、自分の世界に旅立っておりましたわ。樹さんのお優しいお人柄ならば、モテますでしょうに。婚約者の義務として、私の相手をしなければ…と思われておられるのでしょうね。そうだわ!ヒロインとの出逢いを待つ必要は、ありませんもの。私が、他の素敵な女性との切っ掛けを、作ればいいのですわ!


そう思い直した私は、張り切って樹さんとご一緒に出掛けましたのよ。案の定、待ち合わせの場所には、麻衣沙とその婚約者である岬さんが、共におられましたけれども…。麻衣沙も…苦笑されておられます。岬さんに押し切られたのでしょうね。






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 今現在の私達は、とある有名デパートにて、買物をしております。両親が行きつけのお店ですわ。ここでのお買い物でしたら、両親からもゴーサインをもらっておりますのよ。一般客も混じる中で、私達は使用人も引き連れて、ぞろぞろと店内を歩いておりました。私と麻衣沙が、現役高校生というのもありまして、現金やクレジットカードは、まだ持たせていただけないのでしてよ。


普段の買い物はどうするの?…そう思われるかもしれませんけれど、私達が買い物に出掛けることはありませんので、持つ必要もないのですわ。何か欲しい物があれば、両親に強請り、使用人に買って来てもらい、どうしても商品を取って拝見したい時には、お店の人を呼びつけるのです、自宅に。そうすれば、お店の担当者が数点厳選した上で、持って来てくださいます。例えば、ブランド品ならば、偽物や粗悪品を掴まされることはない、ということですね。お金持ちって、便利ですよね。


お金持ちの生活を満喫しながらも、前世は一般市民という身分から、気軽に自分で買い物に出掛けたいと、ついつい…思ってしまいます…。人間って本当に、欲深いですよねえ…。麻衣沙は前世もお嬢様でしたので、あまり出掛けたいとは思わないご様子ですね…。そういう気持ちも、分かり合いたかったなあ…。他には…転生者であるお人は、おられないのかしら?…誰か、私の気持ちと、おられないかなあ…。


お買い物の時間は、あっという間に過ぎて行きました。結局、自分のお小遣いは使わず仕舞いでしたわね。私には樹さんが、麻衣沙には岬さんが、「これが欲しいんだね?…俺が、買ってあげるよ。」と仰って、お答えする前に支払われてしまいました。まるで、私達のスポンサーさんみたいでしたわ…。前世でしたら、大喜びしておりましたけれど、現世では…お金は余裕で持ってますし。


…まあ、嬉しくないことは…ありませんけれど、来年の今頃は…ヒロインに夢中になれれているかと思うと、寂しいものがありまして…。出来れば…この1年間の間に、彼らの、私達も納得しやすいと思っておりましたのよ…。


それなのに…。何時いつまでもこうやって優しくされ続けますと、突き放された時に…ガックリという気分になるのでは、と…自分で自分の事が、心配になってしまいますのよ。…ふう~。乙女ゲームの瑠々華にならないとは、言い切れなくて…正直言いますと、怖いのでしてよ。今のところ、ゲームの強制力はないようですが、来年も発揮されないとは…言い切れませんものね…。


本音は、不安で押し潰されそうですのよ。麻衣沙というしっかり者の幼馴染で、同じく転生者の存在がおられたお陰で、私はプレッシャーに圧し潰されなくて、済みましたのよ。本当に、麻衣沙さまさまですわね。逆に麻衣沙には、私の存在はお荷物だったのではないか…と、思うのですが。


 「わたくしも、ルルと知り合えましたお陰で、乙女ゲームの設定にも負けませんと、決意出来ましたのよ。ルルは…大事な親友ですわ。」


そう仰られた麻衣沙に、わたくしも…元気付けられましたわ。……うふふふふっ。例え、来年に私達の関係がどうなろうとも、私と麻衣沙の親友の関係はなくなりませんのよ。ゲームの強制力にも、打ち勝ってみせますわ。そうでなければ、また再度初めから、麻衣沙とお友達をやり直せば、良いのですわ。私、負けませんっ!


 「樹さん!来年はこうして、ご一緒には過ごせないと思いますけれども、私は常に樹さんの味方ですから、ご安心してくださいましね?」

 「……ルル、どうして…来年は、一緒に過ごせないのかな?…他に誰か、好きな奴でも…出来たのかな?」


クリスマスパーティの途中で、樹さんとの…浸っておりましたら、つい…本音を漏らして、申し上げてしまいました…。乙女ゲーム事情をお知りにならない彼には、失礼でしたわね…。ですが、彼は…何か誤解されたようで、怒りのオーラが背後に背負っておいででして。…あれっ?…何か…ご様子が…?!


 「……樹さん。ルルのいつもの妄想ですわ…。あまり…気にされませんように。去年は、樹さん達が大学に行かれ、今年も…わたくし達とはあまり、接点がございませんでしたでしょう?…ですから、そう思い込まれたのでしてよ。」

 「ああ…。瑠々華さんは、思い込みやすいよね…。これは、樹が…いや、俺達が悪いよ。」

 「……確かに、そうだね…。ルルの性格を知っていたというのに、俺は…婚約者と肩書に安心してしまって、ルルの寂しい気持ちを理解していなかったよ。でも、もうすぐ2人共同じ大学に通学することになるし、ルルには…もう寂しい気持ちには、させないからね?」


…ええ~!!余計に…悪いよっ!…麻衣沙ったら、余計な事を言ってくれて、どうすんのよ、これから………。






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 主人公・瑠々華視点となります。


内容的には、現在投稿しております本編の方と、話を合わせるように書いていますので、現行のクリスマスのお話は…作れませんでした。それでも書きたくて、過去のお話となりました。時代背景は乙女ゲーム始まる直前、としています。


瑠々華の言葉が、お嬢様言葉ではない箇所もありますが、元一般市民ということもあり、混乱したりすると…そうなります。


※次回は、年末に投稿したい…と予定しています。読んでいただきまして、ありがとうございました。また次回もよろしくお願い致します。

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