第10話意地悪い笑顔の彩良

放課後。

図書室の扉を開けると、結野先輩が仁王立ちしていた。

「えっーと。さ、彩良さん...やっぱり、怒っていますよね」

「いたっ、何するんですかっ」

彼女はいきなり、額にでこぴんをしてくる。

「私以外の女の子と楽しくしていたから。罰だよ、牧平く~ん」

そう答え、近くの本棚から一冊の文庫本を手に取り、文庫本で顔を隠す彼女。

「まあ、こんな優しいのならいいか」

「懲りてないんだぁ~。今度見つけたら、もっとひどいこと、し~ちゃおっかな~」

意地悪い笑顔を浮かべ、頬をつねってくる彼女。

「ごめんなさい。ほんとに勘弁してください。それだけはっ」

ひっしに頭をさげる俺。

「ふふっ。見つけたら、ねっ」

「あのっ。今からどこか行きませんか?それで許してください。ほんとの本当にっ」

「いいよ。牧平く~ん、行こっ」

手を繋いできて、図書室を出ていく。


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