第3話莉久の家は
俺は玄関扉を開けて、靴を脱ぎスリッパを履くと同時に階段を下りてきた人物から強い力で抱擁される。
「リクちゃーん、おかえりー。今日は遅かったね。何してたの。今日も可愛い弟だよっ。晩ご飯私がリクちゃんに食べさす~。一緒に風呂はいろ、身体洗ってあげる。一緒に寝よっ─」
ゆるんだ顔で、甘ったるい声で言う姉さん。
「ちょっと、咲姉。いい加減離れて。もー、咲姉ってばぁ!」
俺は、引き剥がそうとするが力が強い。姉さんはいつもこの調子だ。
バシッと母さんが姉さんの頭を強く叩く。こうでもしないと姉さんは離れてくれない。
「咲っ。いい加減にしなっ。莉久が困ってるでしょ、早く食べるよ。二人とも」
姉さんが離れ、文句を言っている。
「お母さん、酷いよー。叩かなくても、リクちゃんもそう思うよねー」
俺と母さんは無視をする。
「リクちゃん、無視しないでぇ。うっううーリクちゃーん」
泣き出し、床に座りこむ姉さん。俺が近づこうとするのを母さんがとめる。
「咲姉。泣き止んで。何もしないなら一緒に風呂にはいったり寝るけど」
そう宥めると姉さんは泣き止み、抱きついてから食卓について、食べ始める。
「リクちゃん、早く早く。風呂はいろっ」
姉さんが腕にしがみつく。大きな胸が当たる。
「わかったから、咲姉。落ちついて」
結局、何もしないならという約束は破り、俺の身体を洗う姉さん。
その間、誰とも付き合わないでとか、可愛い弟は私だけのものとか言われ、結野先輩のことは言わなかった。話したら、姉さんがおかしくなりそうだから。
牧平咲(さき)は、見てのとおり重度のブラコンだ。小さい頃からずっと。これでも大学三年の成人。弟と離れたくなくて、一人暮らしをしなかったぐらいである。酒は飲んだことがない。綺麗なスタイルで顔も整っていて、胸も大きくDカップとのこと。髪は一度も染めていない。聞くところ俺に嫌われるかもと思ってのことらしい。人当たりもよく友達が多い。男と付き合ったことは─。
ベッドに二人並んで寝ていた。
「ねぇねぇ、リクちゃん。触ってもいい」
甘ったるい声で言う姉さん。
「聞く前に触ってんじゃん、咲姉。約束だろ」
俺の大事なとこに姉さんの手が伸びてくる。
「だめって言ってるでしょ、咲姉。もう一緒に寝ないよ」
「ごめんー、リクちゃん。それだけは、許して」
寝不足になりそうだ。大学に入れたら、家を出ようと心に決めた俺だった。
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