清楚な先輩は俺に対して
闇野ゆかい
第1話衝撃の出逢い
6月下旬のある日の放課後。
俺、牧平莉久(まきひらりく)は図書室の隅にあるふかふかのソファーに寝転び、文庫本を読んでいた。いつの間にか、目が閉じていった。
「て、きて。くん...起きて、牧平くんっ」
可愛くて、オルゴールの音色みたいに癒される声が聞こえ、目を開けると、まわりは暗く、清楚な女の子が穿いてそうなパンツが瞳に飛び込んできた。それが一瞬何なのか理解できなかった。
「うぅわぁー。びっくりしたー」
叫び声をあげた俺に、上品な笑いが聞こえた。
すぐに目の前が明るくなる。と言っても、陽が傾きかけ、暗くなり始めていた。
ふわっといい香りが鼻腔をくすぐる。
「あなたは、もしかして。有名な結野(むすびの)先輩...ですか」
「そう...だよ。結野彩良(さら)だよっ」
「そうだよって。結野先輩がなっなにしてるんですかっ!」
俺はソファーから飛び上がる。
結野先輩はスカートの裾から手をはなし、こたえる。頬を紅潮させながら。
「男の子は女の子の下着を見たいかと思って」
俺は有名な結野先輩の下着を見てしまったということだ。事故というか、なんというか。
「よくそんなことできましたね、結野先輩。誰かに見られてたら、襲われてたかもしれないんですよっ。結野先輩は全校生徒の注目の的何ですから」
「見られないように、図書室の扉の鍵。締めたもん。なんで怒るの、牧平君。牧平君が好きだからしたのに」
結野先輩は可愛く、頬を膨らます。拗ねている感じがする。
今なんて言った、結野先輩は。
俺が好きと、そう言ったのか。
全校生徒の注目の的である、清楚で何もかもこなせる優秀な先輩の結野彩良さんとの出逢いは衝撃的だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます