第37話:トーカ、ダンジョン攻略に参加する
スキルレベルを330にするのは結構簡単。
ベースレベルが上がらないので、ずっと同じ階層で狩りができるからな。
スキルカード七枚目になったその日のうちに、ダンジョン生成スキルは330に。
そしてついに──
「トーカの登場なのです!」
「いや、ずっと登場しっぱなしでしょ、あんた」
「さぁ、経験値二倍にするですよぉー!!」
「その前に、経験値二倍の恩恵を受けるには、DPが必要な感じだけどどうなんだ?」
トーカを連れて他所のダンジョンに行き、そこでモンスターを倒すとDPが1貰えるらしい。
そのDPを使ってトーカは獲得経験値二倍の恩恵を与えられるそうなんだが……。
「はい! 他所のダンジョンモンスターを倒して得たDPは、トーカに直接蓄積されるのですが──」
そのDP1を使って、次に倒したモンスターからの獲得経験値を二倍にすることが出来るらしい。
「えぇっと、それって経験値二倍の恩恵をスキルに例えると、使ってから次に倒したモンスターの経験値だけが二倍ってことか?」
「その通りです!」
一匹倒したら次に倒すモンスターからの経験値が二倍。
地味に永久機関が出来るようだな。
「待って。そのトーカの恩恵って、経験値二倍以外にはないの?」
「むむむ。仕方ないですから答えてあげるです。経験値二倍以外だと、各種ポーションとの交換が出来るですぅ」
「そういうのってDPが無くてもできないのか? ほら、マスターの俺に貢ぐって形で」
「ズルはいけないと思うですよマスター」
凄い真顔で言われてしまった……。
スキル所持者特典でポーションぐらいくれたっていいじゃないか。
「交換DP次第ね。最下級の癒しのポーションだといくらで交換してくれるの?」
思いのほか興味津々だったのはルーシェのほうだ。
「最下級でしたらDP5で交換ですぅ。ちなみに精神のポーションも交換可能で、最下級のものだとDP10ですねぇ」
「……悪くないんじゃないかしら」
「そうなのか?」
精神のポーションってのは、たぶんMP回復剤だろうな。
この世界って、ポーションは貴重なんだろうか?
でも癒しのポーションは雑貨屋でも買える品物だけど。
「じゃあトーカ。中級ポーションはどう?」
「癒しの中級だと交換は50ですぅ。精神は70ですねぇ」
「うぅーん、悩むわねぇ」
「どうしたんだ、ルーシェ。ポーションがそんなに欲しい?」
「そうね。下級の癒しポーションぐらいならどこでも手に入るんだけど、中級になると冒険者ギルドでも入荷数が少ないから高額なのよ」
なるほど。ランクが高くなると一気に高騰するんだな。
しかも精神のポーションになると、下級でもあまり出回ってないそうだ。
「他にもぉ、モンスターのアイテムドロップ率を上げる恩恵もあるですよぉ」
「な、なんだって!? それも経験値と同じような?」
「はいぃ。次に倒すモンスターのドロップ率を上げる効果ですぅ。必要なDPは2ですぅ」
ド、ドロップ率上昇!?
い、いやいや。ここは冷静になろう。
「ドロップ率二倍、とか?」
「いいえぇ、十倍ですぅ」
「よぉーっし! それでいこうっ」
二匹倒してはドロップ十倍恩恵を使って一日狩りまくった。
その結果は……
「通常ドロップアイテムがごろごろ……」
「まぁこうなるわよね。ドロップ率が0.1%だとして、それが十倍になっても1%だもの」
「その1%すら出ないじゃん」
「マスター。もしかしてレアを期待したですかぁ? 残念ですけどぉ、レアは0.1%以下なことのほうが多いですよぉ」
ゲームだと0.01%以下のドロップ率なんてのもざらにあったけれど……異世界までそんな仕様だとは。
まぁ通常ドロップだって必ず出る訳じゃないしな。
それがほぼ確実に素材が落ちたんだ。換金すればいつもより稼ぎはよくなる。
でもいつもの十倍にはならないかな。
うん。
「明日から経験値二倍にしよう」
そして経験値二倍を体感して思ったことは。
「貰える経験値が2になって、一匹倒すとレベルが2あがるようになった!」
「そうね。おかげであっという間に階層ごとの適正レベルを超えるようになっちゃったわね」
「……そうだな」
いっそ最下層に行ってしまおうかと思うほどにレベルが上がり過ぎるようになった。
一匹倒せば確実にレベルが上がる俺にとって、経験値二倍恩恵は効果があるのかないのか微妙なところ。
「これならポーションとの交換と、ここぞというときにドロップ十倍用にDPを貯め込むのもいいかもなぁ」
「あとはミトが日向ぼっこしなくてもよくなった時に使うとかかしら?」
「まぁマスターには有難みのない恩恵ですねぇ」
ミトのテイムスキルカード作成十枚達成までの凝り二日間。
DPを貯金することに。
そしてようやくカードが十枚溜まると──
「では、ウッドゴーレムを召喚するですぅ~」
「おっし、頼むよトーカ」
「ウッドゴーレムは植物系モンスターですぅ。火属性が弱点ですけどぉ、燃やしちゃったらテイムできませんから気を付けてくださいねぇ」
そう言ってトーカはルーシェの方を見た。
「分かってるわよそれぐらいっ。心配しなくても、氷系魔法で攻めるわよ」
「にゃにゃ~ん。オイラは風魔法でサポートするにゃぁ。タクミのスピードアップにゃぁ」
準備万端。
さぁ、テイムの始まりだ!
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