第103話 発動する慈悲なき力

「特に質問が無い様であれば、採決に移りたい」


 一度だけ周囲を見渡してから、ヴェニゼロス大司教がやおら席から立ち上がった。


「ちょっと待ってくれ、ヴェニゼロスよ。それはあまりにも性急ではないか? 本日司教位となった二人は、まだその話を聞かされたばかりだ。そう易々と判断はつくまい」


 少々怒気のこもったこの声は、東京教区の大司教であるニアルコスだ。


 おぉ、ウチの大将ニアルコスもタマには良い事言うねぇ。

 金に目がくらんだ、陰険エルフのろくでもねぇ爺ィだと思っていたが、ちょっとは見直したぜ。

 そうだよ、そうだよ。

 いくら形式とは言え、せめてもう少し判断する時間と情報が欲しいモンだぜ。


 俺は少しでも同意を得ようを周囲を見渡してみたのだが、残念ながら列席する司教の多くは顔を伏せたまま、同意する様子は微塵みじんも見受けられない。


「ふむ。そうは言うがなニアルコス。アレクシア神の使者は明日の早朝にはこのメルフィを立つと言う。我らの意思を伝えるにはもう時間が無いのじゃ。この数日、十分に議論を行い、おおよその結論は出ておる。元々は法をたてに、司教位全員の参集を強く要求し、これまで使者への回答を先延ばしにして来たのは、ニアルコス、其方ではないか」


 ヴェニゼロス大司教の優しい口調の中には、幾分かの非難が込められている様にも感じられる。


「ふぅぅむ」


 ニアルコスが憮然ぶぜんとした表情のまま、自分の座る椅子の背もたれへと大きく体を預けた。


 どうやら、東京では我儘わがまま放題のウチの大将ニアルコスも、流石に本国の大司教にはそうそう文句を言える立場には無いらしい。

 って言うか、ウチの大将ニアルコスは、この話については、ヴェニゼロス大司教と意見が食い違ってるみたいだな。となると、俺はどっちに付けば良いんだ?


「それでは、司教各位に問う。アレクシア神の要請に応じ、アレクシア神との共闘を可とするものは挙手を、否とするものは沈黙をもって応えよ」


 ヴェニゼロス大司教からの静かな問い掛けに、ペイディアス大司教をはじめとする多くの司教連中がゆっくりと右手を上げて行く。


 ふと隣を見てみれば、エレボスなんかは我先にと手を上げる始末。


 お前ッ、どんな内容が知らねぇっつってたろぉ?

 なんでそんな簡単に賛成できんだよっ!


 その清々しいほどの世渡り上手っぷりに、思わずため息が漏れる。


 でもまぁ、そりゃそうなるわなぁ。


 確かに、自分が所属する教区の大司教が手を上げてるんだ、その中で、新米ペーペーの司教が反対出来るはずも無く。

 って事は、俺もウチの大将ニアルコスの様子を……とみて見れば、先程と寸分たがわぬ格好のまま、憮然ぶぜんとした表情で腕を組んでいるではないか。


 あちゃー。反対かよ。

 大勢は決してるって思うけどな。

 たしか、賛成は過半数で良いんだよな。

 まだ迷ってそうなヤツも居るにはいるが、半数超えているのは一目瞭然だ。


 とは言え、俺もアラフォーだしな。

 今さら本社の社長のご機嫌を取ったところで、出世できる範囲なんてたかが知れてる。それだったら、自分の部署の上役の顔色をうかがって、こじんまりと安定した余生を過ごした方がナンボかましだ。


 俺がそんなクソどうでも良い、日本人的サラリーマンの処世術に身を委ねようと決心した所で、ちょうどその隣に座る蓮爾 れんじ様の姿が目に入った。


 うぉぉ、マジか。

 蓮爾 れんじ様ったら、しっかりと右手を上げていらっしゃるじゃあ、ござんせんかっ。


 これは困ったぞ!

 まさか、あの蓮爾 れんじ様がウチの大将ニアルコスの反目にまわるとはっ!

 どうする? どうする俺っ!

 ウチの大将ニアルコスを取って、安穏とした余生を過ごすか?

 それとも蓮爾 れんじ様にくっ付いて、茨の道を歩むのか?


 いや、待てよ。

 よく考えたら、蓮爾 れんじ様は地方派閥じゃなくて、中央派閥を選んだって事だよな。

 って事は、もしかしたら、この件が発端となってウチの大将ニアルコスが左遷されるかもしれねぇってこった。

 となると、次期東京教区の大司教は蓮爾 れんじ様に決まりって事だよなっ!

 うぉぉ、これ、鉄板じゃん!

 もしかしたら……いや、もしかしなくても、鉄板の万馬券じゃね?!。

 これだけ情報が揃ってて、蓮爾 れんじ様の馬券を買わなかったら、自称競馬好きの名が廃るってもんよっ!


 俺は少し興奮気味に右手を上げようとしたのだが……。


「うぐっ」


 ヤベぇ……。

 にらんでるよ。

 えぇ、間違いなく。

 あの御方は本気ですよ。

 お前ェ、ナニ聞いてたんだよっ! ってな感じで。

 だって、めちゃめちゃ、目が怒ってるものなぁ。

 いや、怒ってるを通り越して、呆れてる?

 いやぁ、呆れてるも通り越して、ちょっと目が死んでるよ。

 うん、死んでるね。あの目は。

 完全に死んだ魚の目をしているよ。


 そんな、恐怖以外の何物でもない蓮爾 れんじ様の視線に気づいた俺は、上げかけた手を何事も無かったかの様に下ろすと、両膝の上にそっと置く事にしたのさ。


「うむ。大勢は決した様じゃな。それでは、この事案については賛成多数で……」


「あいや、待たれよヴェニゼロス。この議案は司教会だけの議論で決するにはあまりにも重い。ここはやはり、パルテニオス神へ直接お伺いを立てた方が良いのではあるまいか?」


 この期に及んで、ウチの大将ニアルコスがヴェニゼロス大司教の言葉を遮った。


「いい加減にせぬか、ニアルコス。その結果や如何にかかわらず、世俗の問題はすべてこの司教会の決定に委ねるとの神の仰せじゃ」


「いやしかし、事の内容は、神々の共闘に関する問題だ。それを我々だけで……」


「くどいっ!」


 突然のヴェニゼロス大司教の叱責に、部屋全体の空気が一瞬にして凍り付いた。


「この事案は既に決したっ! これ以上話を蒸し返すのであれば、其方は司教会の運営を妨害する者として、即刻この部屋から出て行ってもらう事になるが、如何にっ!」


「なんとっ、この私に退席せよと申すかっ!」


 どうにも腹の虫が治まらないのだろう。

 ウチの大将ニアルコスも顔を真っ赤にしてヴェニゼロス大司教を睨みつける。


「そうじゃっ! もう採決は終わった、ヌシは、直ぐにねっ!」


「あぁ、分かったっ! そうまで言われて、残る理由はないっ! ワシはもう帰るっ!」


 ここまで来ると、もう子供の喧嘩だ。


 ウチの大将ニアルコスが立ち上がるのに合わせて、採決の際に手を上げなかった司教連中がゾロゾロと連れ立って退席して行く。

 その人数はおよそ全司教の三分の一程度だろうか。

 意外にも本国より派遣されて間もないアイスキュロスがウチの大将ニアルコスの前を先導する様に歩いているのは驚きだ。

 見ての通り計算高いヤツだから、てっきり本国の大司教であるヴェニゼロス側に付くものと思っていたが。

 そして当然、先程手を挙げた蓮爾 れんじ様は、何事も無かったかのように座ったままだ。


 はぁぁぁあ。

 ちっ、本当に頭の固い爺ィどもはイヤんなるぜ。

 こんな所で仲違なかたがいされちゃあ、下々の方が大変だっつーの。


「ノリヒロ、こんな事になったが、数少ない人種族同士だ。また連絡してくれ」


「あぁ、またこちらに来る時は、必ず連絡するよ、エレボス」


 俺は隣に座っているエレボスと軽く別れの握手を交わすと、部屋を出て行くニアルコス派の一団を追いかけるように早足でその場を後にしたんだ。


 ――ザッ、ザッ、ザッ、ザッ


 部屋を出たニアルコス派の司教位たちは、終始無言のまま、かなりの早足で回廊を突き進んで行く。


 ん? 何をそんなに急いでいるんだ?


 てっきり飲み会の後みたいに、店の前でグダグダと話をする様なノリで構えていた俺は、この統制の取れた行動がどうしても解せない。


 どうするかなぁ。

 一番話しかけやすいのは蓮爾 れんじ様だが、当の本人は部屋に残ったままだし。それに、もともと東京教区で話の通じる司教の二人はこの前死んじまってるからなぁ。かと言って、アイスキュロスに話し掛けるのも業腹ごうはらだ。


 まっ、俺がこなしていた特命任務の多くは、もっぱらウチの大将ニアルコスからの命令だったからな。本人に聞くのが一番だろう。


 俺はさらにスピードを上げて集団の後方メンバーを追い越すと、先頭付近で歩みを進めるニアルコス大司教の隣へと並んで歩き始める。


「ニアルコス様、ニアルコス様。どちらに参られますか? それから、どうしてこの様にお急ぎになっておられるのでしょう? もしよろしければ、この加茂坂かもさかめにも、その理由をお教えいただけないでしょうか?」


 俺が下手したてに話し掛けると、ニアルコスの爺さんは、正面を見据えたまま、軽く目を細めた。


「なんだ加茂坂かもさか蓮爾 れんじからは何も聞いておらんのか?」


「はぁ、特にはなにも。あえて申し上げれば、ニアルコス様が席を立たれた場合には、必ず付いて行く様にとの指示がございましただけで」


「そうか……。アイツの言葉足らずも大概だな」


 そう言いながら、この爺さんは口角を微妙に上げて、不気味な笑いを顔を浮かべてみせる。


 なんだ? 何を考えてやがるんだ、この爺さん。

 やっぱり何か隠してやがったのか?


 俺が爺さんからの次の言葉を今かいまかと待っていたその時。

 回廊の前方から、何やら騒がしい物音が聞こえて来た。


 ――ガッシャ、ガッシャ、ガッシャ!


 重々しい金属が、幾重にも擦れる嫌な響き。


「何事だ! ココをどこだと思っている。誰だ、お前達はっ!」


 一体どこに隠れていたと言うのだろうか。

 回廊の行く手には、すくなくとも二十名以上の兵士の姿が。

 全員が同じ鈍色にびいろに輝く甲冑を身に着けている事から、何がしかの組織だった部隊である事は間違いない。

 更に、中庭の方へと目をやれば、草花の間からクロスボウの様な武器を手にもった集団がワラワラと溢れ出して来ている真っ最中だ。


「ヤツらは何者だ?」


  そういぶかしげにつぶやくニアルコス大司教

 どうやらウチの大将ニアルコスにも心当たりが無いらしい。

 そんな爺さんが傍に寄り添う従者に目配せをすると、従者は小さく頷いてから前方へと駆け出して行った。


 コイツはマジヤベぇなぁ……。


 謎の武装集団が俺たちを取り囲むのに、さして長い時間は掛からなかった。

 やがて、アリい出る隙間すきますらない、完璧な包囲が完成。篝火かがりびに照らされた庭園には、再び信じられないほどの静寂せいじゃくが訪れた。


「ニアルコス様っ、鋼の鎧に赤いマント。獅子の紋章はエレトリア軍と思われます」


 様子を見に行っていた従者が戻り、早口でそう報告する。


「エレトリアとな。と言う事はマロネイアの小僧か。アイツめ、やはりヴェニゼロスと通じておったのかっ!」


 苦虫を嚙み潰した様な顔で、唸り声を上げるニアルコス。

 どうやらウチの大将ニアルコスにとっても、想定外の出来事だったらしい。


 この火急の事態をどうやって切り抜けるべきか。

 各々が思案を巡らせ始めたその時。

 俺達の行く手を阻む集団の中から、ひと際大柄な兵士がゆっくりと歩み出て来た。


「お騒がせして大変申し訳無い。ところで、そちらに御座おわすはニアルコス大司教と心得るが、相違ないか?」


 その男ははがねで補強した鱗の鎧スケイルメイルに身を包み、赤い扇状の飾りが目にも美しいガレアを小脇に抱えたまま、穏やかな表情で話しかけて来た。


「おぉ失礼した。こう言う場合は、やはり先に名乗るが礼儀であったかな。何分、武人の身ゆえご容赦願いたい。なにしろ先ほど其方たちがいきなり我々を誰だ? と言うものだからなぁ……。てっきりそれがこちらの風習なのかと勘違いしてしもうたわ。あはははは。さてさて、あらためてわたくしはマロネイア家に仕えし侍従のサロスと申す者。どうぞお見知りおきを。して、其方たちの名は?」


「「……」」


 司教位全員がこの偉丈夫の事を睨みつけたまま。

 誰一人として返事をする者がいない。

 その虚勢の根源は、兵士づれに名乗る名は無いと言う身分の違いによる嫌悪感か、それとも不法な暴力の介入に対するいきどおりなのか?


「うぅぅむ。これでも名乗っていただけませぬか。仕方がありませんな。我が主からは、今宵こよい何人なんぴとたりとも神殿外へ出す事かなわずとの指示を受けておりますれば、皆様にはこのまま我らにご同行いただくか、もしくは元のお部屋へとお戻りいただくか、二つに一つ、この場でお決めいただきたい」


 強大な武力を背景に、そう淡々と話を続けるマロネイアのサロス。


 アイツ、昼間にアゲロスの傍にいた、戦闘奴隷の一人だな。

 間違い無ぇ。こいつはヤベェぞ。

 って事は、ヴェニゼロスの爺さんは、俺達が外に出る事を想定して、兵士たちを配置していたって事じゃねぇか。


 俺はヤツらに気取られぬよう、懐にしまってある相棒とも言うべきGlock17のグリップへと手を掛けた。


「おぉっと! あまり怪しい動きをなされませぬ様に。この場に御座おわす方々は、多種多様な祝福を持つ司教位の面々であると聞き及んでおります。が……しかし、ご存じの通り、神殿内には高位の結界が張られているとの事。この場所に居る限り、皆様は魔法を使う事が出来ないそうですなぁ。いやぁ、日頃より強大な魔法の力によって我ら人族を虐げるエルフの皆様が、その総本山である神殿の中では思う様に力を発揮できないとは。誠に因果なものでございますなぁ」


 確かにその通りだ。

 司教クラスは、俺を除けば全員が全員、必ず何がしかの祝福を持っている。

 その強大な力が身内に向くのを恐れ、神殿の敷地内には高位の結界が張られていると聞いた事がある。

 その分、神殿内には警備を司る兵士達が居るはずなんだが……コイツら自体、ヴェニゼロス大司教本人が呼び寄せた兵隊たちだとしたら、俺達にはどうする事もできない。


「ニアルコス様、この場は一旦、部屋の方まで引き返しましょう。流石にこれだけの兵士達を相手に、魔法も使えない司教位だけではとても御守りする事が出来ません」


 そんな俺の進言にも、ニアルコスの爺さんは首を縦に振ろうとしない。


「いや、それは出来ん。もう少し様子を見る。もう少し……、もう少しだ」


 いやいやいや。

 こんの爺ィめ、どんだけ頑固モンだよ。

 もう少しっつったって、そんな時間、どこにもねぇよ。

 って言うか、時間が過ぎればすぎるほど、俺達の立場はマズくなってくんじゃねぇのか?

 かぁぁぁ……!

 こんな事なら、やっぱり蓮爾 れんじ様と一緒に、部屋に残っとくんだったぜっ!


 後悔先に立たず。

 所詮エルフの言う事なんぞを信じた俺がバカだった! ……などと言う想いは、ものの数秒であっけなく打ち砕かれる事となる。


「あっ、アレは!」

「うぉ! アッ……アレはっ!!」


 集団の後方、俺たちに背を向ける形で後ろの兵士達と対峙していた司教連中が、なにやらザワザワと騒ぎ始めたのだ。


「ようやく始まったか……」


 え? おいっ爺さん、いま何て言った!?


 ふと見れば、隣に立つ爺さんニアルコスの口角が微妙に上がっている。


「おぉぉ! 何だありゃ! 見ろっ!」

「魔法は使えないんじゃ無かったのかっ!」

「どう言う事だっ! マズいんじゃないのかっ!」


 司教位たちの動揺は、ほどなく俺達を取り囲む兵士達へも伝播して行く。

 しかも、兵士達へと伝わる恐怖の度合いとスピードは、司教位たちとくらべて桁違いに高い。

 やがて、兵士達の動揺と恐怖がピークに達しようとしたその時。


「皆の者よく聞けいッ! 逃げよっ! このままここに留まっておっては巻き添えを食うぞっ! 逃げよっ! 逃げよッ! 命の惜しいものは、ただちにあの厄災から逃げるのだッ!!」


 とても老人とは思えぬニアルコス大司教の大音声に、司教位ならず、兵士達までもが浮足立った。


「うわぁぁぁ! 逃げろっ! 逃げろぉっ!」


 その言葉を切っ掛けに、せきを切ったように走り出す司教達。

 そんな突然の動きに対応出来ず、ジリジリと後退を始める兵士達。


「くっ! 撤退っ! 撤退だっ! 全軍、回廊の外まで退避っ! 退避しろッ!」


 ついに我慢の限界と判断したのか、隊長とおぼしきサロスが兵士全員に撤退の命令を下した。


「「うわぁぁぁ! うわぁぁぁ!! 退けっ! 退けぇぇ!!」


 あれだけ広いと感じた庭園は、恐れおののき、ただひたすらに逃げ惑う司教位と兵士達で埋め尽くされ、瞬く間に阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄絵図と化してしまう。


「「うわぁぁぁ! 逃げろっ! 逃げろぉっ!」」


 そんな中、茫然ぼうぜんと立ち尽くしていた俺は、まるで誰かにうながされるかのように、ゆっくりと振り返った。


 そして見た。

 いや、見てしまった。


 ちょうど、俺達が会議をしていた建物。

 その上空に浮かぶ巨大な赤黒い玉を。


 ――ドプッ……ドプン……ドプッ……


 それは辛うじて生き残った篝火かがりびに照らされ、まるで生き物の様にうごめき、テラテラと輝いて見える。


 ――ドプッ……ドプン……ドプッ……プシュッ……シュルシュルシュル……


 巨大な玉より、時折伸びる赤黒い触手。

 それが逃げ惑う人々を追いかけ、軽く触れて行く。


 ――バンッ! ババンッ! バシュ、バシュゥゥゥ!


 たったそれだけの事で、人がまるで水風船のようにはじけ飛び、内容物をまき散らして行くのだ。


「「うわぁぁぁ! うわぁぁぁ!! 助けてくれっ! 助けてくれぇぇ!!」


 やがて、盛大に漂い始める、強烈な血と汚物の臭いハーモニー


 いまや敵も味方も無い。

 ましてや慈悲など、一かけらも存在しない。

 それは、人智を遥かに超えた、圧倒的な神による暴力気まぐれ


 蓮爾 れんじ様の祝福が……発動した。

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