幼馴染に見放されたけど、その妹が俺のファンらしい。〜邪魔してくるけど、頭を撫でると寝るのでその隙に曲を作ります〜
とろにか
プロローグ
「もうあんたの妄言は聞き飽きたわ!」
俺の名前は松井泰斗(たいと)。高校二年の作曲ヲタクである。
学校の帰り道、俺は幼馴染の三浦千夏と一緒に帰っていたのだが、その千夏がめちゃくちゃ怒っている。主に俺のせいだが。
金髪ロングの千夏は俺を指差して言う。
「曲を作る、作ると言って、一週間何もできてないじゃない!」
「うぐがががががやめてくれよおお!その精神攻撃は俺だけに効くからあああ」
俺は頭を抱えて悶え苦しむ。
作ろうとは思ってるんだよ?でも全然できない。アイデアが来ない。詰んでる。
「あんたが作った歌でシンガーソングするのは諦めるわ。もう、今日から話しかけないで!」
シンガーソングって何だよ。普通に歌い手って言えよ。あーあ、ついに絶交宣言かな?
まぁ、いいや。こいつの指定する、意味わからない締め切りに追われるより、自由に曲を作った方が俺の性に合ってる。
「ごめんな。しばらく他の曲でも歌っててくれ」
「ふんっ」
そう言って千夏は俺を置いて帰ってしまった。
良かったー。絶対アイドルになれる歌作って!とか言われたから、悩み過ぎて死ぬかと思った。これで晴れて俺は自分の時間を取り戻せる。
ーーーーーーー
自宅に戻った俺は悠々とパソコンを立ち上げる。
「さーて、今日もインプットの時間ですよー」
そう、まずは他人の神曲たちを聞いて、創作意欲を上げるのだ。この時間が一番大事。
重苦しい年季の入ったヘッドフォンを壁から取ったところで、ピンポーン、と音がする。
誰じゃ、俺の至福の時間を潰そうとする鼻毛野郎は。
俺は急いで玄関に行って、扉を開ける。
「せんぱい、やっほー」
来訪者は三浦炎花(ほのか)。幼馴染の千夏の妹だ。学年一つ下で、俺と千夏と炎花は同じ高校に通っている。銀髪ツインテールの彼女は俺に笑いかける。
「邪魔な姉が諦めてくれたので、代わりに来ちゃったよ?」
「いや、まじ、なんで?俺の、時間・・・」
「ほのかは先輩のファンなので。作曲の進捗を確認する必要があります」
ちくしょおおお!!幼馴染に見放されてラッキー!って思ってたらその妹が邪魔しに来たぞ!!
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