もうすぐ、友達に告ります

怜 一

プロローグ


 あの日。私は眠り姫となり、それからずっと夢を見続けている。その夢は、寝ても覚めても消えてくれない、私の心を支配する悪夢。


 王子様に掛けられた、きっと叶わない夢。

 この世界に、私の夢を叶えてくれる魔法使いはいない。現実は、お伽話のように都合良くできていない。だから、私は、この幸福で残酷な夢を見続ける。


 ───なんていう、もどかしい状況には飽きた。私の気持ちに早く気付け。まぁ、私から強くアプローチしないのも悪いとは思うけど、バレンタインにハート型の手作りチョコを渡したりとかしたじゃん。


 女の子同士だからって、普通はそこまでしないでしょ。ちょっとは、え?もしかして?くらいは意識してよ。


 そりゃ恋愛とかに関して鈍感なのは知ってるよ。でも、そこまで鈍感だとは思わないじゃん。ああ、もう面倒くさい。


 …はい、決めた。今、決めました。

 今年のクリスマス。ワタクシ。眠り姫こと白宮 菫は、王子様の桔梗 ゆかりに告白することを決めました。

 異論は認めない。

 だって、私の恋だから。


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