第318話 夢の中で
その日の夜、俺は不可思議な眠気に襲われた。
時間があれば教会に行きたかったのだけど、この眠気はどう考えても異常だった。
俺の持ってる力の通用しない、人為的……否、神為的なものを感じて大人しくベッドに潜る。
「坊主が早寝なんて珍しいな」
「お疲れなんですよ。色々と頑張ってくださってますから」
「我々ももっと頑張ってシリウス殿のお役にたちましょう」
……まあ、その影響で、いつもよりも早く寝ただけで疲れてると思われたのは少し困りものだけど、現時点でアリシアやシエルには凄く助けて貰ってるし十分なので頑張りすぎないように明日は言うとしよう。
孤児院に来てから、俺は一人で寝ることが多くなった。
婚約者達の添い寝がないので少し寂しいけど、何回かアリシアとシエルが朝起きたら隣で寝ていたことがあったのだけど、偶然ではないと思う。
二人共、まだ未婚の乙女なんだから男のベッドに潜り込むのは感心できないけど、虎太郎の『いや、坊主が責任取る以外道はなくね?』的な視線には抗議したかった。
流石にこれ以上増えたら相手できる気が……しない事もないけど、他の婚約者達の気持ちの面もあるし……だから、虎太郎、『いやいや、坊主の婚約者達はむしろもっと増えると予想してる』って顔はやめて欲しい。
確かに、何だかんだと増える婚約者の数に婚約者達がまるで気にしてないのは分かってるけど、それはそれ。
可愛い姪まで婚約者となってしまったけど、もしかしたら本人の希望で婚約が無くなることもあるかもだし、その辺は明日の自分に任せておく。
そんな事を思いながら眠りにつく。
やはり、おかしいな。
意識が引きずり込まれるようなレベルで引っ張られている。
誰かが俺を夢の中……というか、意識を自身の元へと引き寄せるような感じがある。
悪意はないし、大丈夫だろうけど、俺の希望を言えば女神様の元へと行きたいものだ。
まあ、選べないだろうけど、お顔を生で見れる機会は貴重だからね。
そうして俺の意識が沈み込むと、しばらくして俺は見覚えのない空間へと意識だけが飛んでいた。
「お、きたきた」
敬愛する女神様のお顔を期待したけど、残念ながらそこに居たのは久しぶりに見る男装の麗人の女神様であった。
この世界で信仰されてる創造神様でもあるらしい。
「露骨にガッカリしたよな?」
いえ、してませんよ。
「どうだかな。まあ、あいつもそのうち来るだろうけど、足止めしてるからしばらくは二人きりで話せるだろう」
何かご用があると?
「まあな。この世界の創造神の権限まで使う必要もないだろうが……念の為な」
ふむ、何やら真面目な話のようだし、聞くべきだろうな。
俺に関係する話なのだろうし……昼間のことも聞きたいしね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます