第301話 下準備の日々
ヌロスレアに来てから一週間が経過した。
日のあるうちは、クーデター組織と協力して広範囲での食料配給をして、夜は孤児院で子供たちと戯れる。
でもそれだけでなく、2日に1度くらいは屋敷に戻って婚約者たちの顔を見ることも忘れない。
本当は毎日帰りたいが、孤児院の子供たちの面倒も見たいし、何よりこちらに居た方が有事に備えやすい。
クーデター組織やケイオスとの連携は比較的スムーズに取れているが、偽物の動向しだいでそれも崩れると考えておかないと。
この一週間でアリシアとも大分仲良くなったと思う。
元々相性が良かった自覚はあるけど、生活する上で色々と任せやすいのも高ポイントだ。
いつも一緒に子供たちのご飯を作って、王都の民に食料を配ってと凄く助かる。
本人は俺に恩を返したいと言っていたが、十分すぎるほどに返してもらっているので気にしなくてもいいと思う。
ただの俺のお節介だし。
護衛として一緒にいる虎太郎とシエル。
虎太郎は俺の帰るタイミングで家に戻るけど、帰る時はちゃんと着いてきてくれる。
虎太郎の存在のお陰で余計な争いも少ないしやっぱり抑止力としてはかなり強い。
シエルとも屋敷にいる時より話してる気がする。
シエルは俺たちが屋敷に戻るタイミングにこちらで護衛に残ってくれるし、常日頃から俺やアリシアの護衛についてくれている。
荒事が少なくても、手練が一人増えただけで安心感がだいぶ違う。
特に、屋敷に戻っているタイミングの孤児院を任せられるのは有り難すぎる。
本当はもう少し人を連れてきたいけど……領地の方から虎太郎を引っ張ってきている以上、あまり領地から人を連れてくるのも躊躇われる。
とはいえ、現状が最もバランスが良いのも確かだし特に問題は無いかな。
ヌロスレア内には、既に兄様達からの応援も来ているが、派手に目立つようなことはせず裏方に回っている。
頼もしい兄様、頼もしい味方です。
さて、ここまでの状況だと、比較的落ち着いてるように思えるが……欲を言えば、一度学園には行きたいかも。
先生達に相談したいこともあるし、何よりもこの先にも関わってくる。
とはいえ、それは時間のある時に。
この一週間でケイオスの顔は民衆にかなり広まったと思う。
率先して、クーデター組織と食料を配給する若き自国の王子様。
顔もいいし、民衆からの支持も上がって一石二鳥。
何も問題が無いわけでもないが、その都度対応出来てるし計画に変更はない。
ただ、あまり派手にやり過ぎると、城にいる偽物に気付かれる恐れもあるので注意がいる。
国王の偽物である、化け物は恐らく自前の目で国を見ている。
それを欺くために偽の映像を流すように妨害の魔法を使っているが、こちらにも気づかれた様子はない。
ただ、油断はせず情報操作もきちんとする。
人脈という点において、マッチョで乙女な店主は最高の協力者なので助かっている。
さて、そんな風に俺たちの慈善事業が日常になってきた頃。
この日、俺は計画を前に進めるために新しい取り組みを始めることにした。
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